eLearning/Greek
Bacchylides(バッキュリデース)†
Last updated: 2008/09/18 by MATSUURA Takashi
- Βακχυλίδης
- Bacchylides (Lat., Engl.)
- Bakchylides (Dt.)
- Bacchylide (Fr.)
- バッキュリデース
- バキュリデース
- バキュリデス
- バッキュリデス
以下のページも参考にしてください(何人かの抒情詩人が一緒に扱われている場合があります)。
- eLearning/Greek/LyricPoetry
作家略号†
バッキュリデースについて†
ケオース島(Κέως; Ceos)のイウーリス市(Ἰουλίς; Ioulis)の出身。メドーン(Μέδων; Medon)あるいはメイドーン(Μείδων; Meidon)の息子。運動選手バッキュリデースの孫。抒情詩人シモーニデース(Σιμωνίδης; Simonides)の甥。
生没年ははっきりしない。年代が推測できる作品は次の通りである(一部)。
- B. 13
- おそらく485年か483年。
- B. 6, 7
- 452年。
- B. 3
- 468年。
B.3 はオリュンピアー競技会でのヒエローン(シュラクーサイの僣主)の勝利をたたえて作られたものであり、おそらくこれをもとにエウセービオス(Eusebius)は『年代記』*1 において彼の盛年(ἀκμή; acme)を468/7年としている。『年代記』では2つ目の年代として451/0年が挙げられているが、これは没年を表していると考えるのが適当である。
作品と校訂本†
バッキュリデースの作品はおそらくアレクサンドレイア(アレクサンドリア)の図書館で、詩の形式ごとに、9巻に分けられていたと考えられる。しかし、不幸にして19世紀も終わりを迎えるまでは100行程度の引用断片しか残されていなかった。1896年にエジプト考古学の Sir Wallis Budge がバッキュリデースのパピルスを法外な値段で購入してイギリスに持ち帰ると、Kenyon は早速それを校訂して出版した。
したがって Kenyon によるものが初版本(editio princeps)である。それに続いて Blass による校訂本が Bibliotheca Teubneriana から1898年に出ている。最初の本格的な注釈としては1905年に出版された Jebb のものが挙げられる。
現在もっとも権威のある校訂本は2003年に出版された、Maehler による Bibliotheca Teubneriana のものである(未見)。これは「第11版」とされている。Bibliotheca Teubneriana で出されたものは (Blass ->) Süss -> Snell -> Maehler と改訂されている扱いになっているからである(下の参考文献参照)。
注釈としてもっとも優れているものは1982--97年に出版された Maehler, Die Lieder des Bakchylides であり、その一部が選集として2004年に英訳されている。他に、個々の断片の注釈がいくつも出ている。
番号づけ†
Bacch. 7, 8 は、Kenyon は別の2つの作品としているが、Blass は同一の作品が2つの断片に分かれてしまったものとして、1つの作品として扱っており、Jebb もそれに従っている。これにより、バッキュリデースの作品の番号づけに、主に2つの方法が存在することになる。現在は Maehler の番号づけによるのが一般的である。
- ἐπινίκιον(祝勝歌) B. 1--14, 14A, 14B
- διθύραμβος(ディーテュランボス)'' B. 15--29
競技祭について†
- オリュンピアー競技祭
- エーリス地方のオリュンピアーで4年ごとに開かれていた競技祭。
- ピューティアー競技祭
- ポーキス地方のデルポイにある、アポローンの神域で4年ごと、オリュンピアー競技会の2年後に開かれていた競技祭。
- ネメアー競技祭
- アルゴリス地方のネメアーにある、ゼウスの神域で2年ごとに開かれていた競技祭。
- イストモス競技祭
- コリントス地方のイストモスにあるポセイドーンの神域で2年ごとに開かれていた競技祭。
それぞれの位置については、例えば次のページを参考にしてください。
上から3つ目の画像を見てください。
初めて合唱歌を作ったのは、紀元前8世紀後半のコリントスのエウメーロス(Εὔμηλος; Eumelus)と、スパルタのアルクマーン(; Alcman)だといわれている。この2人が使っていた方言がドーリス方言だったために、その後の合唱歌は、他の方言が母語の詩人でもドーリス方言を用いて作られることとなった。
バッキュリデースもまたドーリス方言を用いて詩を作っている。そこに叙事詩からの借用があり、その結果アイオリス方言も入り込んでいる。
韻律について†
個々の断片について†
参考文献†
テキスト・注釈†
- Blass, F. (ed.), Bacchylidis carmina cum fragmentis (Lipsiae [Leipzig], 1898) [T(H)]
- --- (ed.), Bacchylidis carmina cum fragmentis [2] (Lipsiae [Leipzig], 1899)
- --- (ed.), Bacchylidis carmina cum fragmentis [3] (Lipsiae [Leipzig], 1904) [T(H)]
- --- (ed.), Süss, W. (rev.), Bacchylidis carmina cum fragmentis [4] (Lipsiae [Leipzig], 1912)
- --- (ed.), Snell, B. (rev.), Bacchylidis carmina cum fragmentis [5] (Lipsiae [Leipzig], 1934)
- --- --- Bacchylidis carmina cum fragmentis [6] (Lipsiae [Leipzig], 1949)
- --- --- Bacchylidis carmina cum fragmentis [7] (Lipsiae [Leipzig], 1958) [言3] [T(K)]
- --- --- Bacchylidis carmina cum fragmentis [8] (Lipsiae [Leipzig], 1961) [倫3]
- Jebb, R.C. (ed.), Bacchylides: The Poems and Fragments (Cambridge, 1905) Internet Archive
- Kenyon, F.G. (ed.), Bacckylides: Poems; from a papyrus in the British Museum (London, 1897) [editio princeps] Internet Archive
- --- (ed.), The Poems of Bacchylides: Facsimile of Papyrus DCCXXXIII in the British Museum (London, 1897)
- Snell, B. (ed.), Maehler, H. (rev.), Bacchylidis carmina cum fragmentis [10] (Lipsiae [Leipzig], 1970) [倫3]
- Maehler, H. (ed.), Die Lieder des Bakchylides, 1. Teil (Leiden, 1982)
- --- (ed.), Die Lieder des Bakchylides, 2. Teil (Leiden, 1997)
- --- (ed.), Bacchylides: Carmina cum fragmentis [11] (München, 2003)
- --- (ed.), Bacchylides: A Selection (Cambridge, 2004)
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- Campbell, D.A. (tr.), Greek Lyric IV: Bacchylides, Corinna, and Others (Cambridge, 1992) [Loeb]
- Fagles, R. (tr.), Bacchylides: Complete Poems (New Haven, 1961)
- Slavitt, D.R. (tr.), Epinician Odes and Dithyrambs of Bacchylides (Pennsylvania, 1998)
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- Gerber, D. (ed.), Lexicon in Bacchylidem (Hildesheim, 1984) G. Olms
研究書†
- Burnett, A.P., The Art of Bacchylides (Cambridge, Mass., 1985)
- Fearn, D., Bacchylides (Oxford, 2007)
- Lefkowitz, M.R., The Victory Ode: An Introduction (Park Ridge, N.J., 1976)
- Stenger, J., Poetische Argumentation: Die Funktion Der Gnomik In Den Epinikien Des Bakchylides (Berlin, 2004)
- Wilamowitz-Moellendorff, U. von, Bakchylides (Berlin, 1898) Internet Archive
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