ledmacパッケージはLaTeXで(主に散文の)校訂本を作るためのパッケージです.plain TeXの EDMAC, TABMAC, EDSTANZAマクロをLaTeXに移植したものです.以下の特長があります.
既にLaTeXは正しくインストールされているものとします.
ダウンロードしたディレクトリ内で次のコマンドを実行します.
$ latex ledmac.ins
するとledmac.styが生成されますので,例えば$TEXMFLOCAL/tex/latex/ledmac/にコピーして,
$ sudo mktexlsr
を実行します.使い方は,ダウンロードしたledmac.pdfに載っています.
ledmacはさまざまな情報を外部ファイルに書き出すので,数回(p)latexを実行する必要がある場合があります.
\usepackage{ledmac}
と書いておきます.
行番号を自動的につけるには,テキストを次のように囲みます.
\beginnumbering <text> \endnumbering
\beginnumberingは行番号を0にリセットし,\jobname.nnファイルを読み込んで行番号を管理します.nnはセクションの番号です.
実は,このままでは行番号は表示されません.実際に行番号を表示させるには,そのパラグラフを\pstartと\pendで囲む必要があります.
\beginnumbering \pstart <text 1> \pend <text 2> \pstart <text 3> \pend \endnumbering
上のように入力すると,<text 1>と<text 3>には行番号がつきますが,<text 2>には行番号はつきません.なお,<text 3>の行番号は<text 1>の続きになります.
\pstartと\pendの代わりに\autoparを用いれば,自動的に行番号を表示させることができます.
\begingroup \beginnumbering \autopar <text 1> <text 2> <text 3> \endnumbering \endgroup
行番号はすべての行で表示されるわけではありません.デフォルトでは最初に表示される行は第5行で,そこから5行ごとに行番号が表示されます(5, 10, 15, . . .).これを,たとえば最初に表示される行が第2行で,そこから3行ごとに行番号を表示させたい(2, 5, 8, 11, . . .)ときには次のようにします.
\firstlinenum{2} \linenumincrement{3}
デフォルトでは,行番号はテキストの左側の表示されます.これを,外側(左ページなら左側,右ページなら右側)にしたい場合は次のようにします.`outer'の部分には,ほかにleft, right, innerが入り得ます.
\linenummargin{outer}
異読を記したい場合は次のようにします.まず,本文にはestを,脚注にはsuntを表示したい場合です.
\edtext{est}{\Afootnote{sunt}}
これがたとえば第3行にある場合,このようにすると脚注には
3 est] sunt
と表示されます.脚注の見出語を変更したい場合は\lemmaというマクロを使って
\edtext{est}{\lemma{xxx}\Afootnote{sunt}}
のようにします.
脚注(apparatus criticus)を,たとえばOCTのように1段組み,項目ごとの改行なし,項目ごとのアキを3emとするには次のようにします.ただし,脚注はAの列のみを使用することとします(\Bfootnoteなどは用いない).
\footparagraph{A} \interparanoteglue{3em plus 1.2em minus 1.2em}
\interparanoteguleのplusやminusの後の値は伸縮する長さを表します.状況によって値を変更します.
行番号のフォントを太字にしたい場合は次のようにします.フォントの大きさを調整したい場合は\footnotesizeのところを適当なものに変更します.
\renewcommand{\notenumfont}{\bfseries\footnotesize}
行番号の範囲を表す半角ダーシ(1--2)を,たとえばドイツ語式の全角ダーシに変更するには次のようにします.
\renewcommand{\endashchar}{\textnormal{---}}