TeX/Manual

古典ギリシア語

ごく簡単な例

LaTeXで古典ギリシア語を出力する簡単な例です.uplatexを使用して,Unicodeでギリシア文字を入力します.uplatexではギリシア文字を欧文扱いするためにkcatcodeの設定をする必要がありますが,pxcjkcatパッケージを使うと簡単に設定することができます.古典ギリシア語の場合,オプションはprefernoncjkがよいでしょう.また3点リーダ(……)などが欧文用になってしまうので,sym04をnoncjkに設定しておくとよいでしょう.

\documentclass[uplatex]{jsarticle}
\usepackage[prefernoncjk]{pxcjkcat}
\cjkcategory{sym04}{noncjk}
\usepackage[utf8]{inputenc}
\usepackage[LGR,T1]{fontenc}
\usepackage[greek,english,japanese]{babel}
\languageattribute{greek}{polutoniko}

\title{古典ギリシア語}
\author{テスト}

\begin{document}

\maketitle

以下に例文を記載します.
\begin{quote}
 \selectlanguage{greek}
 Μῆνιν ἄειδε, θεά, Πηληϊάδεω Ἀχιλῆος
\end{quote}

\end{document}

これを次のように処理します.

$ uplatex input.tex
$ dvipdfmx input.dvi

この方法の場合,ギリシア語を入力するには\selectlanguage{greek}などを用いる必要があります.用いないで入力するには次の「babelパッケージを使わない」の方法がよいでしょう.

babelパッケージを使わない

\selectlanguage{greek}などを使わないでギリシア文字を出力するにはtextalphaパッケージを用いるとよいでしょう.

\documentclass[uplatex]{jsarticle}
\usepackage[prefernoncjk]{pxcjkcat}
\cjkcategory{sym04}{noncjk}
\usepackage[utf8]{inputenc}
\usepackage[LGR,T1]{fontenc}
\usepackage{textalpha}

\title{古典ギリシア語}
\author{テスト}

\begin{document}

\maketitle

以下に例文を記載します.
\begin{quote}
 Μῆνιν ἄειδε, θεά, Πηληϊάδεω Ἀχιλῆος
\end{quote}

\end{document}

ただし(当然ですが)babelパッケージを使わないと出力できないようなものは出力できません.

high stopに正しいグリフを用いる

textalphaパッケージを使った場合,Unicodeでhigh stop (+U+0387, Greek ano teleia)を入力すると,少し下がった位置に点が入ってしまいます.プリアンブルに

\DeclareTextSymbol{\textanoteleia}{LGR}{59}

と書いておくと正しく出力されます.

このようになる理由は次の通りです.texmf-dist/fonts/enc/dvips/cbfonts/CB.encを見ると

...
/periodcentered       % 38--U+00B7 MIDDLE DOT (ano-teleia)
...
/anoteleia            % 59--U+0387 GREEK ANO TELEIA

とあります.textalphaパッケージの標準では\textanoteleiaが38番に設定されているようです.

アクセント記号つきラテン文字との併用(ucsパッケージなし)

少し設定の手間は増えますが,\usepackage[utf8]{inputenc}を用い,ucsパッケージを用いないようにするとほかのパッケージに影響を及ぼさずに済ますことができます.

\documentclass[uplatex]{jsarticle}
\usepackage[prefernoncjk]{pxcjkcat}
\cjkcategory{sym04}{noncjk}
\usepackage[utf8]{inputenc}
\usepackage[LGR,T1]{fontenc}
\usepackage[T1,extra]{tipa}
\usepackage{tipx}
\usepackage{newunicodechar}
\newunicodechar{ȳ}{\=y}
\newunicodechar{ḗ}{\textacutemacron{e}}
\newunicodechar{ḕ}{\textgravemacron{e}}
\newunicodechar{ʰ}{\textsuperscript{h}}
\newunicodechar{ʷ}{\textsuperscript{w}}
\usepackage[greek,english,japanese]{babel}
\languageattribute{greek}{polutoniko}

\title{古典ギリシア語}
\author{テスト}

\begin{document}

\maketitle

以下に例文を記載します.
\begin{quote}
 \selectlanguage{greek}
 Μῆνιν ἄειδε, θεά, Πηληϊάδεω Ἀχιλῆος
\end{quote}

\begin{enumerate}
 \item á
 \item ā
 \item ȳ
 \item kʷʰ
 \item ḗ ḕ
\end{enumerate}

\end{document}

newunicodecharパッケージを用いると定義されていない文字を自分で定義して使うことができます.たとえばȳは定義されていないので,\newunicodechar{ȳ}{\=y}と書いておくと使えるようになります.必要に応じて\newunicodecharの記述を増やしていきます./usr/local/texlive/201?/texmf-dist/tex/latex/ucs/data/def-???.defの記述が役に立つでしょう.パッケージを作っておくと楽です.

その他

  1. pxcjkcatパッケージが使えない場合
  2. アクセント記号つきラテン文字との併用(ucsパッケージ)
  3. teubnerパッケージ

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