eLearning/Greek/Aeschylus/Codices
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[[eLearning/Greek/Aeschylus]] *アイスキュロスの写本 [#o21573f8] >Last updated: 2009/12/23 by MATSUURA Takashi **概観 [#qf8445b1] 以下では現存写本の複製である「副本」(apographa)は基本的に考慮しないことにする。 アイスキュロスには100以上の写本が存在することが知られているが、ビュザンティオン三篇選集(Byzantine triad)に含まれる『縛られたプロメーテウス』『テーバイ攻めの七将』『ペルシア人たち』の写本は比較的多いが、それ以外を含む写本は少ない。特に『救いを求める女たち』『コエーポロイ』を伝えている写本は1つだけである。 もっとも古い写本は10世紀後半に筆写されたと考えられるM(Mediceus)であり、それ以外は13--16世紀のものである。すべての現存写本はMに由来すると古くは考えられていたが、Wilamowitz はMとは独立の散逸写本Φの存在を仮定した。 ω / \ M Φ Murray の校訂本(1937, 1955 [2])は Wilamowitz の示した写本系譜にもとづいている。 Turyn は副本を含む135写本を校合し、写本系譜を作成した(Turyn, 115)。しかし Dawe は、混成(contamination)を考慮すると、おおまかな写本群の区分けはできるものの、Turyn の描いたような明確な写本系譜は作成できないことを示した。Page の校訂本(1972)はこれを踏襲して、apparatus criticus には長い証跡(witness)のリストが作成されている。West の校訂本(1990, 1998 [2])は、写本群の区分けが「おおまか」であることを踏襲しつつも、apparatus criticus では写本群を表す記号を用いて、より簡潔に示している。 M, I写本にはスコリアがたくさんつけられており、これはディデュモスにさかのぼり得るものと考えられる。 以下に代表的な写本のうちのいくつかを挙げる。 :凡例(「含んでいる劇」の項目)| --[ ] は「一部を含んでいる」の意味 --. . . はアイスキュロス以外の作品が含まれていることを表す --( ) 内の数字は、含んでいる劇の数 ~ |~記号|~棚番号|~時代|~所在|~材質|~フォリオ数|~大きさ|~含んでいる劇|~備考| |M|Laurentianus 32.9|10c|メディチ=ラウレンツィアーナ図書館(フィレンツェ)|羊皮紙|264|309 x 212 mm|. . ., '''Per.''', ['''A.'''], ['''Ch.'''], '''PV''', '''Eu.''', '''Th.''', '''Supp.''', . . .|Mediceus| |V|Marcianus graecus 468 (653)|13c|聖マルコ国立図書館(ヴェネツィア)|||||| **参考文献 [#ie3e2ac7] -Dawe, R.D., '''The Collation and Investigation of Manuscripts of Aeschylus''' (Cambridge, 1964). -Smyth, H.W., `Catalogue of the Manuscripts of Aeschylus', '''HSPh''' 44 (1933), 1--62. -Turyn, A., '''The Manuscript Tradition of the Tragedies of Aeschylus''' (New York, 1943). -Wilamowitz-Moellendorff, U. von (Hg.), '''Aeschyli tragoediae''' (Berolini [Berlin], 1914).
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[[eLearning/Greek/Aeschylus]] *アイスキュロスの写本 [#o21573f8] >Last updated: 2009/12/23 by MATSUURA Takashi **概観 [#qf8445b1] 以下では現存写本の複製である「副本」(apographa)は基本的に考慮しないことにする。 アイスキュロスには100以上の写本が存在することが知られているが、ビュザンティオン三篇選集(Byzantine triad)に含まれる『縛られたプロメーテウス』『テーバイ攻めの七将』『ペルシア人たち』の写本は比較的多いが、それ以外を含む写本は少ない。特に『救いを求める女たち』『コエーポロイ』を伝えている写本は1つだけである。 もっとも古い写本は10世紀後半に筆写されたと考えられるM(Mediceus)であり、それ以外は13--16世紀のものである。すべての現存写本はMに由来すると古くは考えられていたが、Wilamowitz はMとは独立の散逸写本Φの存在を仮定した。 ω / \ M Φ Murray の校訂本(1937, 1955 [2])は Wilamowitz の示した写本系譜にもとづいている。 Turyn は副本を含む135写本を校合し、写本系譜を作成した(Turyn, 115)。しかし Dawe は、混成(contamination)を考慮すると、おおまかな写本群の区分けはできるものの、Turyn の描いたような明確な写本系譜は作成できないことを示した。Page の校訂本(1972)はこれを踏襲して、apparatus criticus には長い証跡(witness)のリストが作成されている。West の校訂本(1990, 1998 [2])は、写本群の区分けが「おおまか」であることを踏襲しつつも、apparatus criticus では写本群を表す記号を用いて、より簡潔に示している。 M, I写本にはスコリアがたくさんつけられており、これはディデュモスにさかのぼり得るものと考えられる。 以下に代表的な写本のうちのいくつかを挙げる。 :凡例(「含んでいる劇」の項目)| --[ ] は「一部を含んでいる」の意味 --. . . はアイスキュロス以外の作品が含まれていることを表す --( ) 内の数字は、含んでいる劇の数 ~ |~記号|~棚番号|~時代|~所在|~材質|~フォリオ数|~大きさ|~含んでいる劇|~備考| |M|Laurentianus 32.9|10c|メディチ=ラウレンツィアーナ図書館(フィレンツェ)|羊皮紙|264|309 x 212 mm|. . ., '''Per.''', ['''A.'''], ['''Ch.'''], '''PV''', '''Eu.''', '''Th.''', '''Supp.''', . . .|Mediceus| |V|Marcianus graecus 468 (653)|13c|聖マルコ国立図書館(ヴェネツィア)|||||| **参考文献 [#ie3e2ac7] -Dawe, R.D., '''The Collation and Investigation of Manuscripts of Aeschylus''' (Cambridge, 1964). -Smyth, H.W., `Catalogue of the Manuscripts of Aeschylus', '''HSPh''' 44 (1933), 1--62. -Turyn, A., '''The Manuscript Tradition of the Tragedies of Aeschylus''' (New York, 1943). -Wilamowitz-Moellendorff, U. von (Hg.), '''Aeschyli tragoediae''' (Berolini [Berlin], 1914).
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