[[TeX/Font]] [[TeX/Font/Introduction]] *.map ファイル [#i365f7af] ''.map'' ファイルは、フォントの対応付けが書かれたファイルです。TeX は文字を配置していきますが、実際に表示するのは xdvi であったり、dvipdfmx によって作られた PDF ファイルであったりしますので、それぞれに合わせた ''.map'' ファイルが必要です。例えば次のようなプログラムに対して ''.map'' ファイルが必要です。 -dvips -dvipdfm -pdftex このため、以前は dvips, dvipdfm 用の ''.map'' ファイルを追加した場合、''config.ps'' や ''dvipdfmx.cfg'' に記述を手動で追加する必要があり、それは面倒臭く、間違いの多く発生する作業でした。teTeX 3.0 では自動化され、最も一般的な dvips 用の ''.map'' ファイルを用意し、次のような手順さえ行えば、他のプログラムでも使えるようになりました(→フォントの集中管理)。 まず、必要な ''.map'' ファイルをしかるべき場所に置いた後、''mktexlsr'' を実行して ''.map'' ファイルがある場所を教えます。そのあとで ''updmap-sys'' コマンドを実行して ''.map'' ファイルを登録します((''updmap'' というコマンドは「個人用」コマンドですので、システムの更新の際には ''updmap-sys'' コマンドを用いましょう。))。 # mktexlsr # updmap-sys --enable Map=hoge.map なお、''updmap(-sys)'' を実行すると、''.map'' ファイルを再生成するので、時間がかかります。複数の ''.map'' ファイルを登録する場合は、''--nomkmap'' オプションをつけて ''.map'' ファイルを生成しないようにしておくと時間が節約できます。 # updmap-sys --nomkmap --enable Map=hoge1.map # updmap-sys --nomkmap --enable Map=hoge2.map 最終的には生成しなければなりませんので、最後の ''.map'' には ''--nomkmap'' をつけないで実行するか、別に ''updmap-sys'' コマンドを実行します。 # updmap-sys --enable Map=hoge3.map または # updmap-sys --nomkmap --enable Map=hoge3.map # updmap-sys **.map ファイルの登録削除 [#c25ee499] 次のようにします。Map= は必要ありません。 # updmap-sys --disable hoge.map **Map, MixedMap, KanjiMap [#l7cd3c69] ''.map'' ファイルにはいくつかの種類があります。種類に応じて ''updmap(-sys)'' のオプションの記述を変更します。例えば ''Map'' の代わりに ''MixedMap'' を使う場合は次のようにします。 # updmap-sys --enable MixedMap=hoge4.map おおまかにいうと次のような違いがあります。 -''Map'' アウトラインフォントのみを使う -''MixedMap'' ビットマップフォントも使う -''KanjiMap'' 漢字を使う このページでは欧文のみを扱いますので ''KanjiMap'' についての説明は省略します。 アウトラインフォントとは、Type 1(''.pfb'')や TrueType(''.ttf'')などのフォントのことです。それに対してビットマップフォントとは、METAFONT ソースから生成される ''.pk'' ファイルを用いるフォントのことです。ですから、配布されているフォントのパッケージに METAFONT ソースが含まれていれば ''MixedMap'' を、そうでなければ ''Map'' を使うのが形式的には正しいということになります。 ただし、現在では -''.dvi'' ---(dvips)---> ''.ps'' -''.dvi'' --(dvipdfm)--> ''.pdf'' という変換をして、''.ps'' ファイル、または ''.pdf'' ファイルを使うことが多いですから、ビットマップフォントを使えてもあまりメリットがないと思います。ですから、迷ったら ''Map'' で統一してしまうとか、無条件で ''Map'' を使うというのでも特に問題はないかと思います。 実際、 現在はアウトラインフォント(のみ)を配布する傾向にあるように思います。つまり、最近配布されるようになった TeX 用のフォントの多くは、 -Type 1(.pfb など)を含むが METAFONT ソースは含まない というものが多いですし、 -以前は METAFONT ソースを配布していたが、現在はそれを(TeXtrace, mftrace などで)Type 1 に変換したもののみを配布している(または METAFONT ソースはオプションとして配布している) というものも多いです。 ***updmap.cfg [#cee541b2] Map と MixedMap の使い分けの例について少し調べてみました。 +$TEXMF/web2c/updmap.cfg +$TEXMF-config/web2c/updmap.cfg +$TEXMF-dist/web2c/updmap.cfg 自分でインストールしたものは 2 に、TeX ディストリビューションに含まれているものは 1 に、teTeX に含まれているものは 3 に記述が含まれています。 teTeX の配布物に含まれるもの(上の 3 に含まれるもの)はおおむね、 -METAFONT ソースがあるものは MixedMap -METAFONT ソースがないものは Map となっているようですが、そうでないものもあるようです。例えば 3 に Map xypic.map の記述がありますが、xypic フォントには METAFONT ソースがあります。 -$TEXMF-dist/fonts/source/public/xypic **参考 [#v86167a2] フォントの集中管理については次の URL を参考にしてください。 -http://tutimura.ath.cx/ptetex/?%A5%D5%A5%A9%A5%F3%A5%C8%A4%CE%BD%B8%C3%E6%B4%C9%CD%FD ''updmap(-sys)'' については次も参考になります。 -[[TeX Q&A 42444:http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/texfaq/qa/42444.html]] (W32TeX) -[[TeX Q&A 42473:http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/texfaq/qa/42473.html]] (ptetex3) -[[TeX Q&A 45514:http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/texfaq/qa/45514.html]] (dvipdfm(x) & .map)