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韻律学研究史

古典期の韻律研究で伝承されているものとしては紀元前4世紀のアリストクセノス(Ἀριστόξενος, Aristoxenos; Aristoxenus; Suda s.v. [α 2927])のものが挙げられる。ペリクレースの先生であったダーモーン(Δάμων, Damon; Damo; Suda s.v. [δ 54] )はプラトーンの著作の中で言及されているが、作品は現存していない。

ヘレニズム時代以降に関しては、紀元前1世紀にハリカルナッソスのディオニューシオスが「ビュザンティオンのアリストパネースが抒情詩のコーロン分けを行った」(Comp. 22.17)といっているのが重要である。これは残っているパピルスの状況からいってもありそうなことだと考えられている。

重要な韻律研究としては、紀元前1世紀から紀元後1世紀に、喜劇作家アリストパネースの韻律に関しての注釈を残したヘーリオドーロス(Ἡλιοδῶρος, Heliodoros; Heliodorus)が挙げられるが、きちんとした形で残された韻律研究の最初は紀元後2世紀のヘーパイスティオーン(Ἡφαίστιων, Hephaistion; Hephaestio; Hephaestion)である。彼の全48巻にわたる著作は、2度縮約を重ね、全1巻にまとめられた第2縮約版が今日まで伝わっている。彼の著作に対する注釈を、紀元後4--5世紀にコイロボスコス(Χοιροβοσκός, Khoiroboskos; Choeroboscus)が書いている。中世の韻律理解はヘーパイスティオーンにもとづいたものだと考えられている。

近代の韻律学は17--18世紀に始まる。まず、Gottfried Hermann の著作が重要である。August Boeckh のピンダロスの校訂本(1811)は、抒情詩のコーロン分け(colometry)を確立した点で画期的である。19世紀には主にドイツでヨーロッパ古典音楽との関連と、イクトゥスの研究がなされたが、今日ではこれらは意味のない研究だと見なされている。Paul Maas の表した小さな冊子は、現代の韻律学を確立した点で、決定的に重要である。彼はギリシアの韻律の背後にある原則を初めて明らかにしたといってよい。


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