eLearning/Greek

Tragoedia(悲劇)

このページではギリシア語による悲劇についてのみ言及しています。ギリシア語・ラテン語による劇一般については次のページを参照してください。

構成

ギリシア悲劇は、俳優による対話(dialogue)の場面(scene)と合唱隊による歌が、交互に繰り返される構成を取る。一般に最初は対話の場面で始まり、合唱隊が入場して非ストロペー型の歌を歌う。その後は対話の場面と合唱隊によるストロペー型の歌が交互に繰り返され、最後は対話を行った後、合唱隊が退場する。

なお、下の表はギリシア悲劇の構成を「おおまかに」述べただけであって、したがってすべての劇がこの構成に忠実に従っている、というわけではない。

名称解説
プロローグ(πρόλογος, prologos; prologus; prologue)合唱隊(χορός, khoros; chorus)の入場前の部分。普通は全2場から成り、第1場は独白プロローグ(prologue-monologue)となっていることがある。狭義のプロローグはこれによって定義される。独白プロローグはエウリーピデースではよく用いられるが、ソポクレースでは少ない。
パロドス(πάροδος, parodos)合唱隊の入場のこと、または入場の時に合唱隊が歌う歌の名前。この時に俳優はステージ上にいる場合もあるし、いない場合もある。
第1エピソード(ἐπεισόδιον, epeisodion; episode)パロドスと、第1スタシモンの間の場面のこと。
第1スタシモン(στάσιον [sc. μέλος], stasimon)合唱隊による、ストロペー型の歌。
第2エピソード第1スタシモンと第2スタシモンの間の場面。
第2スタシモン第2番目のスタシモン。一般にスタシモンは劇が進むにつれ短くなる。
. . .この後エピソードとスタシモンが交互に繰り返される。それぞれ第4または第5まで繰り返されることが多い。
エクソドス(ἔξοδος, exodos)最後のスタシモンの後の場面。エウリーピデースでは、ここで機械仕掛けの神(deus ex machina)が登場することが多い。

紀元前4世紀には、合唱隊による間奏曲(choral interlude)によって、劇全体が5つの部分(μέρη)、すなわち「全5幕」に分けられることが普通になった。

対話の場面の分類

対話の場面はおおよそ次のように分類される。

長い対話

レーシス(ῥῆσις, rhesis)
俳優がトリメトロスで述べる長いせりふ。修辞的に書かれ、劇の筋書きに対して重要な役割を果たしている。
「せりふの戦い」(ἀγών λόγων, agon logon; contest of speeches)
2人の俳優が比較的長いせりふを交互に言い合うもの。それぞれのせりふの後に合唱隊長(κορυφαῖος, koryphaios)による、通常は2行のせりふが続く。これは第3俳優の前で演じられることがあり、この場合第3俳優は審判の役割を果たすことになる。多くの場合、この後に論争的な短い対話(1行対話や2行対話)が続くことが多く、そこで議論が先鋭化される。
使者によるレーシス(messenger-rhesis)
劇全体の 2/3 から 4/5 あたりで使者が登場し、長いせりふを述べることがよくある。これは場合によっては劇のはじめの方で起こることもあるし、2回起こることもある。

短い対話

1行対話(στιχομυθία, stikhomythia; stichomythia)
多くの場合、2人の主要人物による1行ずつの対話。トリメトロスのこともあるし、テトラメトロスのこともある。それぞれのせりふが1行で述べられなければならないため、文法上の省略(ellipsis)やサスペンション(suspension)が起こることがよくある。
2行対話(διστιχομυθία, distikhomythia; distichomythia)
2行対話は1行対話のバリエーションと見なすことができる。
継続的なアンティラベー(continuous antilabe)
A::B / A::B / A::B のように、俳優2人が1行を分割してせりふを述べる部分が長く続く場合をいう。これは通常、1行対話の後に続けて置かれ、対話の速度を増すために用いられる。

ビュザンティオン三篇選集(Byzantine Triads)

A.
Pers., Th., Pr.
S.
Aj., El., OT
E.
Hec., Or., Ph.

参考文献

校訂本

複数の悲劇詩人に関わるものや断片集。

翻訳

研究書


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