New Hellenic フォントはイギリスで開発されたフォントです。1927年に Oxford University Press は Lanston Monotype Corporation で彫られた New Hellenic というフォントを導入しました。これは19世紀の初めに作られた Porson フォントのあと、イギリスで成功した唯一のフォントです。現在でも Cambridge University Press で使われています。
New Hellenic フォントの元となったのは1492年にヴェネツィアの Giovanni Rosso(Joannes Rubeus)が出版したとされるマクロビウスの刊本で使われている、丸いフォントです。
1930年代以降、ギリシアでも使われています。ただしΞとΩの字体が違います。
GFSNeoHellenic フォントは Greek Font Society によって作られました(1993-1994)。アテネ考古学協会の資金援助も受け、同協会から碑文用の記号が提供されています。
GFSNeoHellenic の TeX 用フォントは比較的簡単にインストールできます。
以下の作業を自動的に行うシェルスクリプトです。
使用の前に TeX におけるフォント の「シェルスクリプト」の項の注意を必ず読んでください。
このスクリプトでは下に書いた \numero コマンドを無効化しています。無効化する必要がない場合はスクリプトの終わりの方にある ## commentout 以下の、以下のような行の頭に # をつけてコメント化してください。
## commentout cd $TEXMFLOCAL/tex/latex/GFS/NeoHellenic mv gfsneohellenic.sty gfsneohellenic.sty.org sed 's/\\newcommand{\\numero}/%\\newcommand{\\numero}/g' gfsneohellenic.sty.org >gfsneohellenic.sty cd -
からファイル一式をダウンロードします。
適当なところに解凍します。ここでは、シェルスクリプトに合わせて /var/tmp/texfontswork に解凍します。
$ mkdir /var/tmp/texfontswork $ cp GFSNeoHellenic-for-LaTeX.zip /var/tmp/texfontswork $ cd /var/tmp/texfontswork $ unzip GFSNeoHellenic-for-LaTeX.zip
GFSNeoHellenic-for-LaTeX.zip を解凍すると
というディレクトリができるので、それぞれの下にあるファイルを TeX におけるフォント の「フォントの配布」にある規則にしたがってインストールします。インストールする際のディレクトリ名は「GFS/NeoHellenic」にします。例えば type1 ディレクトリの下にある *.pfb ファイルは
ディレクトリにコピーします。
# mktexlsr # updmap-sys --nomkmap --enable Map=gfsneohellenic.map # updmap-sys
$TEXMFLOCAL/doc/latex/GFS/NeoHellenic/gfsneohellenic.pdf が簡単な使用方法のドキュメントです。組版の見本は同じディレクトリにある NeoHellenic_Specimen.pdf です。
プリアンブルには次のように書いておきます。japanese.sty と共存することもできます。
¥usepackage[T1]{fontenc} ¥usepackage[greek]{babel} ¥usepackage{gfsneohellenic}
T1 よりも OT1 の方がよいようです。¥usepackage[default]{gfsneohellenic} とすると GFSNeoHellenic をギリシア語のデフォルトフォントとして使います。
GFSNeoHellenic フォントを使用する場合、その箇所の前でギリシア語を使うようにしてから、その箇所を ¥textneohellenic で囲みます。¥begin{neohellenic} ... ¥end{neohellenic} の environment 型も使えます。
¥selectlanguage{greek} ¥textneohellenic{dokim'h}
¥selectlanguage{greek} ¥begin{neohellenic} dokim'h ¥end{neohellenic}
のようにします。¥selectlaguage を使わなくてもギリシア語フォントの出力はできますが、ハイフネーションなどが正しく処理されないので、使った方がよいでしょう。
teubner.sty と一緒に gfsneohellenic.sty を読み込むと、次のようなエラーが出ます。
! LaTeX Error: Command ¥numero already defined. Or name ¥end... illegal, see p.192 of the manual. See the LaTeX manual or LaTeX Companion for explanation. Type H <return> for immediate help. ... l.73 ...odoninums}{m}{tabnums}¥selectfont¥char'5}} ?
¥numero というコマンドが双方で定義されているためです。どちらかの定義をコメントアウトするか、違うコマンドに変えればOKです。編集の際は必ずバックアップを取るようにしてください。
さて、私の場合は teubner.sty を優先したいので、$TEXMFLOCAL/tex/latex/GFS/NeoHellenic/gfsneohellenic.sty の73行目の頭に % をつけて次のようにコメントアウトしておきました。
%¥newcommand{¥numero}{{¥usefont{U}{neohellenicnums}{m}{tabnums}¥selectfont¥char'5}}
gfsneohellenic.sty で ¥numero コマンドを使いたくなったときにはまた別の方法を考えましょう*1。
TeX におけるフォント に「フォントテーブル」についての解説があります。GFSNeoHellenic の場合は、以下のフォントがあります。
書体見本の例です。