.map ファイルは、フォントの対応付けが書かれたファイルです。TeX は文字を配置していきますが、実際に表示するのは xdvi であったり、dvipdfmx によって作られた PDF ファイルであったりしますので、それぞれに合わせた .map ファイルが必要です。例えば次のようなプログラムに対して .map ファイルが必要です。
このため、以前は dvips, dvipdfm 用の .map ファイルを追加した場合、config.ps や dvipdfmx.cfg に記述を手動で追加する必要があり、それは面倒臭く、間違いの多く発生する作業でした。teTeX 3.0 では自動化され、最も一般的な dvips 用の .map ファイルを用意し、次のような手順さえ行えば、他のプログラムでも使えるようになりました(→フォントの集中管理)。
まず、必要な .map ファイルをしかるべき場所に置いた後、mktexlsr を実行して .map ファイルがある場所を教えます。そのあとで updmap-sys コマンドを実行して .map ファイルを登録します*1。
# mktexlsr # updmap-sys --enable Map=hoge.map
なお、updmap(-sys) を実行すると、.map ファイルを再生成するので、時間がかかります。複数の .map ファイルを登録する場合は、--nomkmap オプションをつけて .map ファイルを生成しないようにしておくと時間が節約できます。
# updmap-sys --nomkmap --enable Map=hoge1.map # updmap-sys --nomkmap --enable Map=hoge2.map
最終的には生成しなければなりませんので、最後の .map には --nomkmap をつけないで実行するか、別に updmap-sys コマンドを実行します。
# updmap-sys --enable Map=hoge3.map
または
# updmap-sys --nomkmap --enable Map=hoge3.map # updmap-sys
次のようにします。Map= は必要ありません。
# updmap-sys --disable hoge.map
.map ファイルにはいくつかの種類があります。種類に応じて updmap(-sys) のオプションの記述を変更します。例えば Map の代わりに MixedMap を使う場合は次のようにします。
# updmap-sys --enable MixedMap=hoge4.map
おおまかにいうと次のような違いがあります。
このページでは欧文のみを扱いますので KanjiMap についての説明は省略します。
アウトラインフォントとは、Type 1(.pfb)や TrueType(.ttf)などのフォントのことです。それに対してビットマップフォントとは、METAFONT ソースから生成される .pk ファイルを用いるフォントのことです。ですから、配布されているフォントのパッケージに METAFONT ソースが含まれていれば MixedMap を、そうでなければ Map を使うのが形式的には正しいということになります。
ただし、現在では
という変換をして、.ps ファイル、または .pdf ファイルを使うことが多いですから、ビットマップフォントを使えてもあまりメリットがないと思います。ですから、迷ったら Map で統一してしまうとか、無条件で Map を使うというのでも特に問題はないかと思います。
実際、 現在はアウトラインフォント(のみ)を配布する傾向にあるように思います。つまり、最近配布されるようになった TeX 用のフォントの多くは、
というものが多いですし、
というものも多いです。
Map と MixedMap の使い分けの例について少し調べてみました。
自分でインストールしたものは 2 に、TeX ディストリビューションに含まれているものは 1 に、teTeX に含まれているものは 3 に記述が含まれています。
teTeX の配布物に含まれるもの(上の 3 に含まれるもの)はおおむね、
となっているようですが、そうでないものもあるようです。例えば 3 に
Map xypic.map
の記述がありますが、xypic フォントには METAFONT ソースがあります。
フォントの集中管理については次の URL を参考にしてください。
updmap(-sys) については次も参考になります。