TeX/Font

フォント名

歴史的な理由で、TeX が扱うフォント名は省略記号を用いた複雑な(しかし系統的な)ものになっています。フォントをインストールする際にはその規則を知っておく必要があります。

次の2種類の規則があります。

Berry 則は主にファイル名に関する規則です。NFSS2 での規則は主に .tex ファイルなどの中で使うフォント名の定義です。

なお、ここでは数学用のフォントは扱わず、テキスト用のもののみを扱うことにします。

Berry 則

Berry 則は、フォントのファイル名に関する規則です。ファイル名は、TeX が扱いやすいようなものにする必要があります。具体的には 8+3 形式(8文字+拡張子3文字)のファイル名にし、なるべく系統的になるようにします。

Berry 則
${CTAN}/info/fontname/fontname.pdf

参考

以下のファイルは全て下の場所に収められています。

内容記述してあるファイル
ベンダ名とその省略記号supplier.map
フォント名とその省略記号typeface.map
販売されているフォント名とファイル名の対応adobe.map
bitstrea.map
linotype.map
monotype.map
etc.

adobe.map などを見ればファイル名が一目瞭然ですので、実用上は上の supplier.map, typeface.map よりもこちらの方が便利でしょう。急ぐときはこれを見るとよいでしょう。

一般的なフォント名と、実際にその社で販売しているフォント名が違うこともあります。bitstrea.aka などに対応が書かれている場合があります。

概要

ファイル名から拡張子を除いた部分を次の要領で定めます。[ ] は省略できる部分です。

S TT W [V . . .] [N] [E] [DD]
略号意味
Sフォントのベンダ(メーカ)名(supplier)
TT書体名(typeface name)
Wウェイト(weight)
V . . .別形(variant)
Nエンコード方式(encoding)
E幅(width; expansion)※普通(normal)の場合は省略
DDデザインされたサイズ(十進法)

以下でそれぞれの略号(あるいはその調べ方)を解説します。

ベンダ(メーカ)名(supplier)

supplier.map に書いてあります。代表的なものは

です。

書体名(typeface name)

typeface.map に書いてあります。

ウェイト(weight)

代表的な略号は以下の通りです。ウェイトがわからなければ下の「シリーズ、シェイプの調査」の方法で調べます。

略号ウェイト
rRegular Roman
bbold
kbook

別形(variant)

これも、わからなければ下の「シリーズ、シェイプの調査」の方法で調べます。

略号別形
iイタリック
o斜体(oblique; slant)

エンコード方式(encoding)

エンコード説明
8aAdobe Standard (Type 1 PostScript)
8rTeX Base 1
7tTeX Text [OT1]
8tCork Encoding [T1]
8cText Companion [TS1]

[ ] 内は NFSS2 での表記です。

幅(width)

「普通(normal)」の場合は省略します。他の略号の一部を挙げておきます。

略号
ccondensed
nnarrow

Bitstream 社の Baskerville Bold Italic なら次のようになります。

NFSS2

NFSS2 でのフォント属性の指定は以下のようにします。

エンコード

テキスト用のエンコードで代表的なものは以下の通りです。

エンコード説明
OT1Kunth 教授が定義したもの。
OT2ワシントン大学で定義された、キリル文字用のエンコード。
T1拡張 OT1 エンコード。Cork エンコードともいう。
L??ローカル(Local)なエンコード定義。LGR や LY1 などがある。

ファミリ

下の「フォントファミリ名の決定」を参照してください。

シリーズ

線の太さ(weight)や文字の幅(width)を表す属性です。

ウェイト(weight)

ウエイト名説明
ulultra light, thin, hairline
elextra light
llight
mregular, book
mbmedium
dbdemibold
sbsemibold
bbold
ebheavy, black, extra bold, extra black
ubultra bold, ultra black

m, b がよく使われます。

幅(width)

説明
ucultra compressed, ultra condensed
ecextra compressed, extra condensed
ccompressed, condensed, narrow
regular
xextended, expanded
exextra expanded
uxultra expanded

ほとんどが regular ですが c はたまに使われます。

シェイプ

文字の形状を表すものです。

シェイプ名説明
nnormal, upright, roman
ititalic
slslanted, oblique
scsmall caps
siitalic small caps
uiupright italic
oloutline

n, it, sl, sc はよく使うでしょう。

Berry 則と NFSS2 との対応

の Appendix A にわかりやすい表があります。

参考

フォントファミリ名の決定

[ベンダの略号]+[フォント名の略号]がフォントファミリ名です。例えば Bitstream 社(`b')の Baskerville フォント(`bv')ならば、フォントファミリ名は bbv と決まります。

シリーズ、シェイプの調査

それぞれの .pfb.afm)ファイルに対してシリーズとシェイプの調査をします。解説書がついていればそれを参考にします。

書籍がなければ fontforge などで対象の .pfb ファイルを開いて、[エレメント]->[フォント情報]をクリックして調べます。


トップ   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS