''2018年4月28日にTeX Live 2018がリリースされました!
現在(2018年4月)おすすめのTeXのシステム(TeXディストリビューション)は以下の通りです.いずれもupTeXなどが提供されていますので,Unicodeで記述された多言語の原稿を組版することができます.
LinuxならばたいていのディストリビューションでTeXが提供されています.ただし提供されているのがTeXLiveの古い版である場合があります.その場合はTeX Live 2018をインストールするとよいでしょう.MacTeX 2018はTeX Live 2018に,macOS (OS X)向けのソフトウェアを同梱したものと考えるとわかりやすいでしょう.
TeX Liveの内容は随時更新されており,アップデートプログラムを実行すると更新することができます.1つ前のTeX Live 2017の更新はすでに終了しています.
LinuxやmacOS (OS X)に,コマンドラインでインストールする方法を中心に解説します(Windowsの場合などはおまけ程度です).
をダウンロードします(ほかのミラーサーバからダウンロードすることもできます).次の順にコマンドを実行します.
$ tar xzf install-tl-unx.tar.gz $ cd install-tl-2018xxxx $ sudo ./install-tl
‘Enter command’に対して‘I’を入力するとインストールが始まります.インストールオプションを変更する場合,たとえばインストールするディレクトリを変更する場合は‘I’を入力する前に,‘D’を入力してください.途中でエラーが出てインストールできない場合は,次の「ISOイメージからのインストール」を試してください.
をダウンロードし,ダブルクリックして展開します.日本語を含んだフォルダ名の直下,またはさらに下の階層にある場合はうまく動かない場合がありますので,たとえばCドライブの直下に英数字のみのフォルダを作ってその中で展開するとよいでしょう.
生成されたフォルダの中のinstall-tl.batを実行し,あとはインストーラに指示に従ってインストールします.
からtexlive2018.isoをダウンロードします.この.isoファイルは巨大なので,ダウンロードの際に破損している可能性があります.チェックサムを比較して破損していないかどうかチェックします.たとえば上のURLからtexlive2018.iso.sha256をダウンロードして比較します.
チェックサムが合致していたらマウントしてインストーラを実行します.
を実行します.マウントは次のようにします.
インストーラは次のように実行します.
まず,リポジトリを検索します.
$ tlmgr get-mirror ... http://example.com/pub/CTAN/systems/texlive/tlnet
得られたリポジトリのURLを設定します.
$ sudo tlmgr option repository http://example.com/pub/CTAN/systems/texlive/tlnet
実際にアップデートするには次のようにします.
$ sudo tlmgr update --self --all
とします.必要に応じてcronなどで自動アップデートするように設定します.
Windowsの場合,GUIのアップデートマネージャも用意されています.
macOSにインストールした場合に,OS付属のヒラギノフォントを使うには,以前は次のようにしていましたが,TeX Live 2018からは別にスクリプトをインストールする必要があります.以下は後で書き換える予定です.
PDFファイルに日本語フォントを埋め込むかどうか,埋め込む場合,どのフォントを埋め込むかはkanji-config-updmapコマンドで設定します.現在の設定を確認するには次のようにします.
$ kanji-config-updmap status
macOS付属のヒラギノフォントを埋め込むのをデフォルトにする場合は次のようにします.
$ kanji-config-updmap --user hiragino-elcapitan
この場合,/usr/local/texlive/texmf-local/fonts/opentype/public/hiraginoのようなディレクトリに,システムで使用しているヒラギノフォントへのリンクを作成しておく必要があります.作成方法
kanji-config-updmapは,設定を行ったユーザでのみ有効です.システム全体で有効にするためにはkanji-config-updmap --sysを使います.
複数のバージョンのmacOS (OS X)を同じコンピュータ上で利用していて,ほかのバージョンのmacOSに付属しているヒラギノフォントを利用したい場合は,スクリプトを利用せず,手動で作業する必要があります.
TeXLive 2018ではmacOSにインストールすると,個人用texmfディレクトリは~/Libraryの下に設定されます.以前のようにホームディレクトリの下に置きたい場合はインストール時に設定するか,/usr/local/texlive/2018/texmf.cnfの以下の記述を削除します.
TEXMFHOME = ~/Library/texmf TEXMFVAR = ~/Library/.texlive2018/texmf-var TEXMFCONFIG = ~/Library/.texlive2018/texmf-config
第2, 3行は削除しなくてもよいですが,以前と同様にするには削除します.
インストールされたディレクトリを移動した場合など,自分でインストールしたファイルが見つからなくなることがあります.このような場合,まずkpsewhichで該当するファイルを探します.
$ kpsewhich example.sty /usr/local/texlive/texmf-local/.../example.sty
のように返ってくれば該当するファイルを見つけることができていますが,返ってこなければ見つけることができていません.
texmf-localディレクトリ以下に正常にインストールされているのに,返ってこない場合,texmf-localディレクトリを見つけることができていない可能性があります.次のように確認します.
$ kpsewhich -var-value TEXMFLOCAL /usr/local/texlive/texmf-local
/usr/local/texlive/texmf-localのように返ってくれば正しく設定されていますが,返ってこなければ正しく設定されていません.正しく設定されていない場合は/usr/local/texlive/201X/texmf-dist/texmf.cnfを書き換えることで正常になる可能性があります(ふつう管理者権限が必要です).
TEXMFLOCAL = /usr/local/texlive/texmf-local
再びkpsewhichを実行します.
$ kpsewhich -var-value TEXMFLOCAL /usr/local/texlive/texmf-local
のように返ってくれば正常です.
インストールしたファイルが~/texmf以下の場合は次のように確認します.
$ kpsewhich example.sty /home/username/texmf/.../example.sty
で確認し,見つからなければ次のコマンドで確認します.
$ kpsewhich -var-value TEXMFHOME /home/username/texmf
で確認し,返ってこなければ/usr/local/texlive/201X/texmf-dist/texmf.cnfを書き換えます.
TEXMFHOME = /path/to/texmf
ただしTEXMFHOMEの値が~/texmfなら,上記の行を削除するだけでOKです.
以前使われていたTeXディストリビューションのインストール方法です.現在は以下の方法ではなく,TeX Live 2018をインストールする方法をお勧めします.