eLearning/Metre
ピリオド†
韻律上の区切りでもっとも重要なのはピリオドであるから、ピリオドがどのように構成されるかを知る必要がある。
ピリオドの「終わり」†
ピリオドの終わりは次のような性質をもつ。
- 以下の3点は必須である。
- ピリオドの終わりと単語の終わりは一致する。すなわちピリオドの終わりは単語の途中におかれない。
- ピリオドの終わりではエリジョンは起こらない。すなわち、ピリオドの終わりとピリオドの始まりの両方に母音がある場合、それらは必ず母音衝突を起こす。
- ピリオドの終わりの直前に後接辞はこない、逆にピリオドの終わりの直後(ピリオドの始まり)に前接辞はこない。
- 以下の3点はそれぞれ起こることと起こらないことがある。
- 母音衝突(hiatus)
- 長要素中に短音節が入る(brevis in longo)
- 韻律終止(κατάληξις, catalexis)
韻律終止については後で詳しく扱う。
シュナペイア†
ピリオドはシュナペイアによって特徴づけられる。
- ピリオドの中に含まれる単語は、単語の切れ目や文法上の切れ目を無視して、あたかも1つのピリオドが1単語であるかのようにして、音節が分けられる。この状態をシュナペイア(συνάφεια, synapheia; synaphia)の状態にあるという。
古代においてはシュナペイアは、例えばアナパイストスのように「同じ脚がずっと続くこと」を表した。現在の意味とは違うので注意する必要がある。
- 逆に、ピリオド同士はシュナペイアの状態にない。したがって、ピリオドの最後の音節の韻律上の長さは、次のピリオドの最初の単語に左右されずに決定される。
長要素中の短音節†
ピリオドの終わりは短要素(breve)にはならない。短音節(brevis)がピリオドの終わりにある場合は、短音節がピリオドの終わりにある(brevis in fine versus)という。
ピリオドの最後の韻律要素は長音節でも短音節でもよいことがある。長音節が期待される韻律要素を短音節が占めている場合、長要素中に短音節が入っている(brevis in longo, i.e. syllaba brevis in elemento longo)という。この場合に不足する長さは、休止(pause)によって補われる。