Last updated: 2008/09/13 by MATSUURA Takashi
Maehler, Bacchylidis carmina, XXII--XXXVIII; Maehler, Selection, 14--17 など参照。
バッキュリデースの詩は、3連構造(triadic)か、単連構造(monostrophic)でできている。3連構造は、
から成り、strophe と antistrophe は韻律的に同一で、epode はそれとは異なる。すなわち AAB という組み合わせになり、この単位が何回か繰り返されて AAB AAB AAB . . . となる。
dactylo-epitrite は以下の metra の組み合わせでできている。それぞれをつなぎあわせる際に anceps interpositum (Lat.); link anceps (Engl.) がつく場合とつかない場合がある。anceps interpositum は x と表されるが、たいていの場合は - になり、u は少ない。また、u が最初の triad に出てこなければ(すなわち - ならば)、以後の triad で、その - に対応する位置に u が出現するのはまれである。なお、anceps interpositum は dactylo-epitrite を説明するのに便利な概念であるが、ギリシアの詩人がもともともっていた概念ではないということに注意しておく必要がある*1。
D は dactylic hemiepes と呼ばれることがある。e - (= - u - -)は epitrite と呼ばれることがある。dactylo-epitrite という名前はこれらからきている。
(以下は Maas による metra の拡大)
Maas の法則は、一般的には次のようになる*2。
x - u - x というリズムを含む場合、行の中間の caesura の箇所を除いては、長い anceps の後に単語の終わりがくることはない。
これは、dactylo-epitrite の場合に限らず成り立つが、バッキュリデースの dactylo-epitrite の場合、詳しくは次のようになる*3。
|| (x) e -_- . . .
. . . - -_e (x) ||
Barrett は Maas の法則を承けて、バッキュリデースは、period の終わりと始まりにおいては、e x という要素が、単語の終わりによって文脈上分けられるのを避けている、と論じた*4。