teubner.sty は「Babel パッケージの greek オプションの拡張」ということになっていますが、これを用いると本格的に文献学や韻律学を扱うことができますので、むしろ「古典文献学のためのパッケージ」といった方がわかりやすいでしょう。なお、いうまでもなく teubner とは、ドイツのトイプナー社へのオマージュです。
teubner.sty は Claudio Beccari の作で、現在の最新版は2004年9月2日付けのバージョン 2.2 です。
teubner.sty や Babel パッケージは、デフォルトのギリシア語フォントとして CB フォントを使いますので、まず CB フォントについて解説します。
CB フォントは T1 エンコーディング(Cork エンコーディング)に基づいていますが、昔からの慣習で LGR エンコーディング(ローカルなギリシア語のエンコーディング)と呼ばれています。TeX の世界ではまだギリシア語のエンコーディングが確立していないためです。
ギリシア語のフォントにはローマ字のようなローマン体、イタリック体という区別がありませんが、ここではそれを擬似的に使います。
CB フォントの通常の形(直立体)は Didot と呼ばれるもので、次の字体(shape)を含んでいます。
「イタリック体」は Olga フォントを似せて作ってあります。タイプライタ体、サンセリフ体も存在します。
cbleipzig フォントはトイプナー社で使われていたフォントを似せて作ってあります。太字体、極太体も用意されています(もともと斜体なので、直立体はありません)。
teubner.sty は ${CTAN}/macros/latex/contrib/teubner/ にあります。ドキュメントなども同梱した .zip ファイルが ${CTAN}/macros/latex/contrib/teubner.zip にありますので、これをダウンロードして解凍するのが一番簡単でしょう。
ダウンロードしたディレクトリ内で次のコマンドを実行します。
$ latex teubner.ins
すると teubner.sty ができますので、${TEXMFLOCAL}/tex/generic/teubner/ にコピーして、
# mktexlsr
を実行します。
teubner.zip に含まれている teubner-doc.pdf が使い方をまとめたドキュメントです。これを見れば大抵のことは解決します。
teubner パッケージを用いるには、プリアンブルに次のように書いておきます。
\usepackage[T1]{fontenc} \usepackage[greek]{babel} \usepackage{teubner}
実質的には3行目が teubner パッケージを読み込む指定ですが、ギリシア語が使えなければ意味がないので、Babel を使う1, 2行目の指定も必須です。なお、Babel で「古典」ギリシア語を扱うにはさらに
\languageattribute{greek}{polutoniko}
を設定する必要がありますが、teubner パッケージを読み込むと自動的に設定されますのでこの記述は省略します。
teubner パッケージや Bable パッケージによるギリシア語入力の方法については
をご覧ください。