Mac OS X での TeX システムにはいくつか種類があります。Richard Koch 教授 が開発された TeXShop などが有名ですが、Mac OS X は UNIX を元に開発された OS ですから、ソースコードからインストールするのもそれほど面倒ではありません。ここでは ptetex3 を用いたインストールの仕方を解説します。Mac OS X のバージョンは 10.4(Tiger)を例にとっています。他のバージョンの場合は適宜読みかえてください。
後で説明するインストール方法の中に現れる追加パッケージのインストール方法についてここでまとめておきます。
X11 SDK は X11 を使うものをソースからインストールする場合に必要です。X11 SDK は後述する「開発者ツール」の一部ですので、この「開発者ツール」のインストールと一緒に行っても構いません。
開発者ツールは、Mac OS X のインストールディスクに収録されています。できるだけ新しいバージョンを使った方がよいでしょう。現在の最新版は 2.4 です(Intel アーキテクチャの 64bit 版に対応しています)。fink-0.8.1 を使うためには Xcode Tools 2.2.1 以上が必要です。インストールディスクがない場合、アップデートが必要な場合は ADC(Apple Developer Connection)から入手してください(ただし、1GB 近くあります)。登録が必要ですが、無料でできます。
Mac OS X 10.4 Tiger の場合は Mac OS X Install Disc 1 に Xcode Tools というフォルダがあり、その中に XcodeTools.mpkg があります。これをダブルクリックしてインストールします。デフォルトでは以下のツールがインストールされます(かっこ内は Tiger の場合の容量の目安です)。
全て入れておいて損はありませんが、ディスク容量が足りないなどの理由*1 でインストールできない場合は、Developer Documentation, Developer Example Software, Java 1.4 Developer Tools を省略すればよいでしょう*2。これらを手動で選択するにはインストール先を選択した後、[…に簡易インストール]の画面で[カスタマイズ]を選択します。
Fink はパッケージマネージャの一種です。インストールしたいパッケージを選ぶと、インストールに必要な他のパッケージも自動的にインストールしてくれます。Fink は 東大 Fink チーム によっても開発されています。Fink で用意されている tetex のパッケージは内部で ptetex3 を使っています。
Fink を使うためには X11 のインストールが必須です。また、ソースコードからのインストールの場合は X11 SDK と開発者ツールのインストールが必要です。バイナリからのインストールの場合は必要ありませんが、バイナリが用意されていない場合が多いので、結局インストールしなければならないでしょう。これらの追加パッケージのインストールは必ず Fink をインストールする前に行ってください。
Finkのページ から fink のインストーラを入手し、インストールします。FinkCommander を「アプリケーション」フォルダにインストールしておくと、GUI(Graphical User Interface)を使った Fink によるインストール/アンインストール作業ができます。
「ターミナル」などからインストールするには次のようにします。
$ fink install <package>
パッケージの一覧です(必ずしも全てのパッケージをインストールする必要はありません)。前述の通り関連するパッケージを自動的にインストールしてくれますから、既にインストールされているものもあるはずです。
Mac OS X で ptetex3 を用いてソースからインストールするには、開発者ツールのインストールが必須です。X11, X11SDK を導入しておくと便利です。
後でフォントの設定をする際には、日本語が表示できるターミナルがあったほうがよいでしょう*3。前述した Fink から kterm をインストールしておくとよいでしょう。もちろんソースからインストールすることもできます。
次のディレクトリが既に存在する場合は、削除するか名前を変えておきます。
~/.texmf-config
~/.texmf-var
/var/tmp/ptetex3 などの適当なディレクトリを作り、次のファイルをダウンロードしておきます。
ptetex-cmap は2005年11月11日以降ほぼ不要になっています。
ダウンロードしたファイルを展開します。作業ディレクトリはどこでも構いませんが、ここでは /var/tmp/ptetex にします。ptetex3 が使う展開・コンパイル用のディレクトリは /var/tmp/ptetex3 です。
$ cd /var/tmp $ mkdir ptetex $ cd ptetex $ cp (必要なファイルをコピーします) $ tar xzvf ptetex3-2007????.tar.gz $ tar xzvf ptetex-cmap-20051117.tar.gz
展開してできたディレクトリに移動します。
$ cd ptetex3-2007????
この中に README と README.xxxx というファイルがあります。README は OS によらない解説、README.xxxx の方は OS ごとの解説です。この2つは必ず読んでおきましょう。
my_option というファイルを作っておくと、インストールのオプションを指定できます。my_option ファイルは ptetex3-2007???? ディレクトリの一つ上の階層にあっても読み込んでくれますので、この例では /var/tmp/ptetex ディレクトリに保存しておくとよいでしょう*4。my_option.sample というファイルがありますから、README.xxxx を参考に書き換えておきます。
README(.xxxx) を読み、my_option を作成したら、コンパイルします。マシンの速度によりますが、make, make otf にはそれぞれ数十分かかるでしょう*5。root の権限が必要なのは make install だけです。
$ make $ make otf $ make babel $ make font $ make test # make install $ cd ../ptetex-cmap-2005???? # make
make font の代わりに make fonty とすると、質問にすべて Yes で答えてくれます。最近はこれらのうちのほとんどを実行してくれるオプションが新設されたようです。README や ChangeLog を参照してください。
make test の前に X11 を起動しておきます。
UNIX 系 OS ではパス(path)の設定が必要です。ptetex3 を用いると TeX の実行ファイル(プログラム)は /usr/local/teTeX/bin にインストールされますが、パスの設定をしないと、このディレクトリ内のプログラムを実行するために /usr/local/teTeX/bin/platex などの長いフルパス名を入力しなければなりません。今動かしているシェル(ターミナル)で設定するには
を実行します。
上の方法では、他のシェルを起動すると、そのシェルではパスの設定が無効になってしまいます。その場合は ~/.bash_profile, ~/.bashrc, ~/.tcshrc などのファイルに上の内容を書き込んでおきます。
UNIX のシステム全体で有効にするためには、次のようなファイルを作成します。
/etc/profile.d にファイルを作成・コピーするには root 権限が必要です。あるいは sudo コマンドを使って次のようにコピーします。
$ sudo cp tetex.sh /etc/profile.d/
実行属性が必要ですので、上の場所にファイルをコピーした後
# chmod 755 /etc/profile.d/tetex.sh # chmod 755 /etc/profile.d/tetex.csh
を実行します。
Mac OS X 10.2 までは「ターミナル」のデフォルトシェルは tcsh、10.3 以降は bash です。
make otf を行い、パスの設定をした後
# updmap-sys --setoption kanjiEmbed hiragino
を実行すると dvips, dvipdfmx, xdvi でヒラギノが使えるようになります。