eLearning/Metre
ピリオド(詩行)†
韻律上の区切りでもっとも重要なのはピリオドであるから、ピリオドがどのように構成されるかを知る必要がある。以下は主に West, Metre, 4--5 による。
- ピリオドの切れ目は単語の途中に置かれない。
- ピリオドの中に含まれる単語は、単語の切れ目や文法上の切れ目を無視して、あたかも1つのピリオドが1単語であるかのようにして、音節が分けられる。この状態をシュナペイア(συνάφεια, synapheia; synaphia)の状態にあるという。
- 逆に、ピリオド同士はシュナペイアの状態にない。したがって、ピリオドの最後の音節の韻律上の長さは、次のピリオドの最初の単語に左右されずに決定される。
- ピリオドの最後の韻律要素は長音節でも短音節でもよいことがある。長音節が期待される韻律要素を短音節が占めている場合、長要素中に短音節が入っている(brevis in longo, i.e. syllaba brevis in elemento longo)という。この場合に不足する長さは、休止(pause)によって補われる。
古代においてはシュナペイアは、例えばアナパイストスのように「同じ脚がずっと続くこと」を表した。現在の意味とは違うので注意する必要がある。
ピリオドの終わりの属性†
- 以下の3点は必須である。
- ピリオドの終わりと単語の終わりは一致する。
- ピリオドの終わりではエリジョンは起こらない。
- ピリオドの終わりの直前に後接辞はこない、逆にピリオドの終わりの直後(ピリオドの始まり)に前接辞はこない。
- 以下の2点はそれぞれ起こることと起こらないことがある。
- 母音衝突(hiatus)
- 長要素中に短音節が入る(brevis in longo)
ピリオドの終わりは短要素(breve)にはならず、不定長要素(anceps)になることはまれである。よって、短音節(brevis)がピリオドの終わりにある場合は、短音節が詩行の終わりにある(brevis in fine versus)という。
また、ピリオドの終わりは韻律終止(catalexis)によって明らかにされることがある。つまり、最後(ultimum)または1つ前の要素(paenultimum)に韻律抑制(suppression)が生じる場合がある。例えば
u - u - | => u - - |
や
- u - x | => - u - |
がそうである(「=>」の左側が通常の韻律、右側が韻律終止)。韻律終止が単語の終わりを伴わないことはまれである。
ある要素の韻律抑制が最後、または1つ前の要素以外にも認められる韻律が存在し(e.g. ia., tr., io.)、この場合の現象はシンコペーション(syncopation)と呼ばれる。