TeX/Manual

サンスクリット語

LaTeXを使ってサンスクリット語(ラテン文字転写)を出力する簡単な例です.Unicodeでアクセント記号つき文字を入力し,uptexで処理します.アクセント記号つき文字の入力方法については次のページを見てください.

以下の例ではucsパッケージとtipaパッケージを使います.TeX Liveなど比較的新しいTeXのシステムには標準で含まれています.古いシステムの場合は自分でインストールする必要があるかもしれません.あるいは最新のTeX Live(2016年4月現在TeX Live 2015が最新)をインストールしてしまった方が簡単かもしれません.

古典サンスクリット語

\documentclass[uplatex]{jsarticle}
\kcatcode`á=15% ラテン1補助(U+0080以降)
\kcatcode`Ā=15% ラテン文字拡張A(U+0100以降)
\kcatcode`ƀ=15% ラテン文字拡張B(U+0180以降)
\kcatcode`Ḁ=15% ラテン文字拡張追加(U+1E00以降)
\usepackage{ucs}
\usepackage[utf8x]{inputenc}
\usepackage{tipa}
\DeclareUnicodeCharacter{7772}{\textsubdot{\=R}}
\DeclareUnicodeCharacter{7773}{\textsubdot{\=r}}

\begin{document}

\begin{verse}
 āsīd rājā, nalo nāma, vīrasenasuto balī,\\
 upapanno guṇair iṣṭai, rūpavān, aśvakovidaḥ.
\end{verse}

\end{document}

これを次のように処理します.

$ uplatex input.tex
$ dvipdfmx input.dvi

母音のṛを下輪にする

入力は「ṛ」とするが,出力は「r̥」にしたい,という場合,次のようにします.古典サンスクリット語の場合と比べて\DeclareUnicodeCharacterの行が変わっていますので注意してください.

\documentclass[uplatex]{jsarticle}
\kcatcode`á=15% ラテン1補助(U+0080以降)
\kcatcode`Ā=15% ラテン文字拡張A(U+0100以降)
\kcatcode`ƀ=15% ラテン文字拡張B(U+0180以降)
\kcatcode`Ḁ=15% ラテン文字拡張追加(U+1E00以降)
\usepackage{ucs}
\usepackage[utf8x]{inputenc}
\usepackage{tipa}
\DeclareUnicodeCharacter{7770}{\textsubring{R}}
\DeclareUnicodeCharacter{7771}{\textsubring{r}}
\DeclareUnicodeCharacter{7772}{\textsubring{\=R}}
\DeclareUnicodeCharacter{7773}{\textsubring{\=r}}

\begin{document}

\begin{verse}
 atha tāṁ, vayasi prāpte, dāsīnāṁ samalaṁkṛtam\\
 śataṁ, śataṁ sakhīnāṁ ca, paryupāsac, chacīm iva.
\end{verse}

\end{document}

入力も出力も「r̥」にするにはファイルを変換するか,ucsのcombineオプションを有効にする必要がありますが,ここでは省略します.

ヴェーダ語

古典サンスクリット語の場合と同様です.

\documentclass[uplatex]{jsarticle}
\kcatcode`á=15% ラテン1補助(U+0080以降)
\kcatcode`Ā=15% ラテン文字拡張A(U+0100以降)
\kcatcode`ƀ=15% ラテン文字拡張B(U+0180以降)
\kcatcode`Ḁ=15% ラテン文字拡張追加(U+1E00以降)
\usepackage{ucs}
\usepackage[utf8x]{inputenc}
\usepackage{tipa}
\DeclareUnicodeCharacter{7772}{\textsubdot{\=R}}
\DeclareUnicodeCharacter{7773}{\textsubdot{\=r}}

\begin{document}

\begin{verse}
 agním īḷe puróhitaṃ,\\
 yajñásya devám ṛtvíjam,\\
 hótāraṃ ratnadh\textacutemacron{a}tamam.\\
\end{verse}

KṚ-, kṛ-, KṜ-, kṝ-.

\end{document}

ā́(長くて鋭アクセントの置かれたa)などはそのまま入力しても処理できないので,ファイルを変換するか,ucsのcombineオプションを有効にする必要があります.少し難しい操作が必要なので,ここではtipaパッケージの記法(\textacutemacron)を用いました.


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