CD-ROM 内の WINPS/SERIF/CASLON_OLD_FACE/ 以下に3種類のファイルがあります。そのうち
のファイルを作業用のディレクトリにコピーします。
これらのファイルの名前を Berry 則にもとづいて変更すればいいのですが、`Old Face' を表す記号がないので困ります。$TEXMFDIST/fonts/map/fontname/bitstrea.map にある変換表にも次のように書かれていて、どのように変更したらいいのかわかりません。
b____ CaslonOldFaceBT-Roman BT 0280 casolfcn b____ CaslonOldFaceBT-Italic BT 0281 casolfci b_____ CaslonOldFaceBT-Heavy BT 0342 casolfch
ここでは、`Caslon' を表すために `ca' を、`Old Face' を表すために `f' を用いることにします。
元ファイル名 | フォント名 | 新ファイル名 |
---|---|---|
0280A___.PFB | Caslon Old Face Roman | bcarf8a.pfb |
0281A___.PFB | Caslon Old Face Roman Italic | bcarif8a.pfb |
0242A___.PFB | Caslon Old Face Roman Heavy | bcahf8a.pfb |
.PFM ファイルも同様にファイル名を変更しておきます。
pf2afm を使って .pfb, .pfm ファイルから .afm ファイルを生成します。
次のように実行します。
$ pf2afm bbvr8a.pfb
次のようにすれば、上のコマンドを4回実行する必要がなくなります。
$ for i in *.pfb; do pf2afm $i; done
今扱っている .pfb ファイルには fi や fl の合字(リガチャ)が用意されていますが、.afm ファイルからは欠落しています。これを手動で追加します。
それぞれの .afm ファイルから、`N f' と書かれている行を探します。たとえば
C 102 ; WX 322 ; N f ; B 27 -2 429 711 ;
という行です。この行の最後に
L i fi ; L l fl ;
を追加して次のようにします。
C 102 ; WX 322 ; N f ; B 27 -2 429 711 ; L i fi ; L l fl ;
これは、`f' の文字に関して、リガチャ(Ligature)を `i' と `l' の組合せに対して行う、という意味です。
4つの .afm ファイルに対して修正を行ったら、忘れずに保存しておきます。
.tfm, .fd, .vf, .map ファイルを生成するための fontinst のファイルを作成します。ファイル名は `bcaof-driver.tex' としておきます。fontinst については fontinst パッケージ をご覧ください。
\input fontinst.sty \needsfontinstversion{1.926} \substitutesilent{bx}{b} \setint{smallcapsscale}{720} \setint{slant}{167} \recordtransforms{bcaof-rec.tex} %% make .tfms \transformfont{bcarf8r}{\reencodefont{8r}{\fromafm{bcarf8a}}} \transformfont{bcarif8r}{\reencodefont{8r}{\fromafm{bcarif8a}}} \transformfont{bcahf8r}{\reencodefont{8r}{\fromafm{bcahf8a}}} % slant \transformfont{bcarof8r}{\slantfont{\int{slant}}\reencodefont{8r}{\fromafm{bcarf8a}}} \transformfont{bcahof8r}{\slantfont{\int{slant}}\reencodefont{8r}{\fromafm{bcahf8a}}} %% installfonts (T1) \installfonts \installfamily{T1}{bcaof}{} \installfont{bcarf8t}{bcarf8r,newlatin}{t1}{T1}{bcaof}{m}{n}{} \installfont{bcarcf8t}{bcarf8r,newlatin}{t1c}{T1}{bcaof}{m}{sc}{} \installfont{bcarof8t}{bcarof8r,newlatin}{t1}{T1}{bcaof}{m}{sl}{} \installfont{bcarif8t}{bcarif8r,newlatin}{t1}{T1}{bcaof}{m}{it}{} \installfont{bcahf8t}{bcahf8r,newlatin}{t1}{T1}{bcaof}{b}{n}{} \installfont{bcahcf8t}{bcahf8r,newlatin}{t1c}{T1}{bcaof}{b}{sc}{} \installfont{bcahof8t}{bcahof8r,newlatin}{t1}{T1}{bcaof}{b}{sl}{} \installfontas{bcahof8t}{T1}{bcaof}{b}{it}{} \endinstallfonts %% installfonts (TS1) \installfonts \installfamily{TS1}{bcaof}{} \installfont{bcarf8c}{bcarf8r,textcomp}{ts1}{TS1}{bcaof}{m}{n}{} \installfontas{bcarf8c}{TS1}{bcaof}{m}{sc}{} \installfont{bcarof8c}{bcarof8r,textcomp}{ts1}{TS1}{bcaof}{m}{sl}{} \installfont{bcarif8c}{bcarif8r,textcomp}{ts1}{TS1}{bcaof}{m}{it}{} \installfont{bcahf8c}{bcahf8r,textcomp}{ts1}{TS1}{bcaof}{b}{n}{} \installfontas{bcahf8c}{TS1}{bcaof}{b}{sc}{} \installfont{bcahof8c}{bcahof8r,textcomp}{ts1}{TS1}{bcaof}{b}{sl}{} \installfontas{bcahof8c}{TS1}{bcaof}{b}{it}{} \endinstallfonts \endrecordtransforms \bye
上の作業で、次のシリーズ・シェイプが使えるようになります。
スモールキャップ体(small cap)と斜体(slant)はもともとありませんでしたが、これらは直立体から機械的に生成します。
問題はボールド体イタリックです。もともとボールド体イタリックフォントは提供されていませんので、ボールド体斜体(slant)で代用しています。
.map ファイル作成に必要な情報は、bcaof-driver.tex を処理した後、bcaof-rec.tex ファイルに記録されます。これを処理して .map ファイルを生成するためのファイルを作成します。ファイル名は bcaof-map.tex としておきます。
\input finstmsc.sty \resetstr{PSfontsuffix}{.pfb} \adddriver{dvips}{bcaof.map} \input bcaof-rec.tex \donedrivers \bye
次のコマンドを実行します。
$ tex bcaof-driver.tex $ tex bcaof-map.tex
fontinst を実行すると各種 .pl, .vpl ファイルができていますので、これらを変換して .tfm, .vf ファイルを生成します。
$ for i in *.pl; do pltotf $i; done $ for i in *.vpl; do vptovf $i; done
それぞれのファイルをコピーします。
ファイルの種類 | コピー先 |
---|---|
.afm | $TEXMFLOCAL/fonts/afm/bitstrea/caslonof |
.tfm | $TEXMFLOCAL/fonts/tfm/bitstrea/caslonof |
.vf | $TEXMFLOCAL/fonts/vf/bitstrea/caslonof |
.pfb | $TEXMFLOCAL/fonts/type1/bitstrea/caslonof |
.map | $TEXMFLOCAL/fonts/map/dvips/bitstrea/caslonof |
.fd | $TEXMFLOCAL/tex/latex/bitstrea/caslonof |
mktexlsr と updmap-sys を実行します。
# mktexlsr # updmap-sys --enable Map=bcaof.map
Type 1 フォント にあるテストの要領にしたがってテストします。
テストがうまくいったら、Caslon Old Face フォントを簡単に使えるように bcasof.sty を作成しましょう。
\NeedsTeXFormat{LaTeX2e} \ProvidesPackage{bcasof}[2006/10/06 v1.0 Bitstream Caslon Old Face] \RequirePackage[T1]{fontenc} \RequirePackage{textcomp} \renewcommand*{\rmdefault}{bcaof} \endinput
これを $TEXMFLOCAL/tex/latex/bitstrea/caslonof にコピーし、mktexlsr を実行しておきます。これ以降はプリアンブルに
\usepackage{bcasof}
と書いておけば、標準のフォントファミリが Caslon Old Face になります。