以下では欧文用 OpenType フォントの利用法について解説します。想定するのは、.otf ファイルから .pfb, .tfm, .fd, .enc, .map ファイルを生成し、必要に応じて .sty ファイルを作成する方法です。つまり OpenType フォントから Type 1 フォントを生成してそれを使います。
以下の例では Adobe 社の販売している Minion-Pro フォントを用います。
次のツールが必要です。
以下でインストール方法を説明します。
$ tar xvzf lcdf-typetools-2.45.tar.gz $ cd lcdf-typetools-2.45 $ ./configure
kpathsea に関するエラーが出るときは、指示にしたがって PREFIX を指定するか、--without-kpathsea オプションをつけて無効化します。
$ ./configure --without-kpathsea $ make # make install
これで次のようなコマンドが使えるようになります。
otftofd は、.otf ファイルから .fd ファイルを生成するユーティリティです。
otftofd.zip を次のように解凍すればすぐに使えます(特にインストール作業は必要ありません)。
$ unzip otftofd.zip
頻繁に使うようならば次のようにインストールしてもよいでしょう。
# cp otftofd /usr/local/bin
次のフォントを作業用ディレクトリにコピーします。
それぞれのフォントの情報を見るには次のようにします。
$ otfinfo -f MinionPro-Regular.otf
これ以降の作業方針の目安とするため、ot1pmn.fd ファイルを入手します。
ot1pmn.fd は CTAN にありますが、サーバによってはない場合もありますので、適当に探してみてください。例えば次のような場所にありました。
.tfm ファイルを生成します。
まず、TeX の基本的なエンコーディングである OT1 用の .enc ファイルを作業用ディレクトリにコピーします。
$ cp /usr/local/share/lcdf-typetools/7t.enc ./
LCDF Typetools をインストールした場所に応じて読みかえてください。
.map ファイルに書き込みながら .tfm ファイルを生成するので、空の .map ファイルを作っておきます。
$ touch pmn.map
せっかくなのでリガチャを有効にして .tfm ファイルを生成しましょう。
$ otftotfm -n pmnr7t -f kern -f liga -e 7t.enc MinionPro-Regular.otf >>pmn.map $ otftotfm -n pmnrc7t -f kern -f liga -e 7t.enc -f smcp MinionPro-Regular.otf >>pmn.map $ otftotfm -n pmnri7t -f kern -f liga -e 7t.enc MinionPro-It.otf >>pmn.map $ otftotfm -n pmnb7t -f kern -f liga -e 7t.enc MinionPro-Bold.otf >>pmn.map $ otftotfm -n pmnbc7t -f kern -f liga -e 7t.enc -f smcp MinionPro-Bold.otf >>pmn.map $ otftotfm -n pmnbi7t -f kern -f liga -e 7t.enc MinionPro-BoldIt.otf >>pmn.map $ otftotfm -n pmns7t -f kern -f liga -e 7t.enc MinionPro-Semibold.otf >>pmn.map $ otftotfm -n pmnsc7t -f kern -f liga -e 7t.enc -f smcp MinionPro-Semibold.otf >>pmn.map $ otftotfm -n pmnsi7t -f kern -f liga -e 7t.enc MinionPro-SemiboldIt.otf >>pmn.map $ otftotfm -n pmnc7t -f kern -f liga -e 7t.enc MinionStd-Black.otf >>pmn.map
できた .map ファイルを確認して、不要な記述があれば削除しておきます。不要な記述とは次のようなものです。
I had to ...
.map ファイルを TeX が見つけてこられるところにコピーします。
# mkdir -p /usr/local/teTeX/share/texmf-local/fonts/map/dvips/adobe/minion # cp pmn.map /usr/local/teTeX/share/texmf-local/fonts/map/dvips/adobe/minion
/usr/local/teTeX/share/ の部分は自分のシステムに合わせて読みかえてください。
TeX から使えるようにします。
# mktexlsr # updmap-sys --enable Map=pmn.map
うまく使えるかどうか、フォントテーブルを作成して確認します。作業用ディレクトリで次のコマンドを実行します。
$ tex testfont Name of the font to test = pmnr7t *\table *\end
testfont.dvi というファイルができているので、xdvi などで見るか、dvipdfmx で PDF にします。
$ dvipdfmx testfont.dvi
フォントテーブルの作成については フォントテーブル も参考にしてください。
次のファイルをコピーします。かっこ内は ptetex3 の場合のインストールディレクトリです。
他に .fd, .sty ファイルが必要です。自分で作成することもできますが、先ほどの
で配布されていますので、これを使うのが便利でしょう。次のディレクトリにコピーしておきます。
コピーしたら忘れずに
# mktexlsr
を実行しておきます。
次のようなファイルを作って latex でコンパイルしてみます*1。
\documentclass[a4paper,12pt]{article} \usepackage{minion} \title{Minion} \begin{document} %%%%% TEXT START %%%%% \maketitle Minion \begin{quote} ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ\\ 0123456789\\ ffi ffl\\ \textit{abcdefg}\\ \textbf{abcdefg}\\ \textsc{0123456789} \end{quote} %%%%% TEXT END %%%%% \end{document}
リガチャが適切に処理されているかどうか(ffi, ffl)、イタリック体・ボールド体が出力されているかどうか、スモールキャップスの場合の数字がオールドスタイルになっているかどうか、などを確認してください。