行 | 場 | 韻律 | あらすじ | 役者入退場 |
1–99 | 前口上 | 三歩格 | アンティゴネーとイスメーネー登場.この2人の姉妹は王宮の扉から入場する.「経緯」の内容についてアンティゴネーはイスメーネーに伝える(1–38).アンティゴネーは禁を犯してポリュネイケースを埋葬する意志を伝え,協力を求めるが,イスメーネーはそんなことはできるはずがないと言う(39–77).アンティゴネーが反論し,話し合いは決裂する(78–99).アンティゴネーは入退場路(田舎側)より退場し,イスメーネーは王宮の扉へと退場する. | アンティゴネー・イスメーネー入場(1),アンティゴネー・イスメーネー退場(99) |
100–154 | 入場 | | 合唱隊入場.入退場路(片側または両側)より入場する(100). | 合唱隊入場(100) |
100–133 | ↓ | アイオリス風 | 太陽神を讃える第1旋舞歌(100–109).アナパイストス(110–116)を挟みポリュネイケースがアルゴス勢が攻めてきたことを叙述する.アルゴス勢がテーバイの7つの門を包囲したことを歌う第1対旋舞歌(117–126).アナパイストス(127–133)を挟みアルゴス勢の将の1人カパネウスをゼウスが雷霆で打ち据えたことを叙述する. | |
134–161 | ↓ | アイオリス・コリアンボス調 | アルゴス勢のほかの将はアレースが殺したことを歌う第2旋舞歌(134–140).アナパイストス(141–147)を挟みポリュネイケースとエテオクレースが刺し違えたことを叙述する.ともかくもテーバイが勝利したので,夜通し舞い踊って神殿に詣でるべきと歌う第2対旋舞歌(148–154).アナパイストス(155–161)を挟みクレオーンが登場したことを叙述する. | クレオーン入場(155) |
162–331 | 第1挿話 | 3歩格 | | |
162–222 | ↓(語り) | | クレオーン登場.入退場路(合唱隊と逆側?)から入場する.テーバイ王家に3代にわたって忠実に仕えてきた長老たち(合唱隊)に向かって,自分が国王に就任すること,祖国に攻め込んだポリュネイケースの埋葬を禁じる旨を述べる.クレオーンによる語り(162–210)の後,合唱隊長との間で短い対話を行う(211–222). | |
223–331 | ↓ | | 番人登場.入退場路(田舎側)から番人が入場し,見張りの目を盗んで誰かが埋葬を行ったことを報告する.クレオーンは自分に反対する一派が賄賂を渡して番人らに嘘の証言をするように頼んだと決めつけ,犯人の「男」を見つけ出し連れてくるよう命じる. | 番人入場(223),クレオーン退場(326),番人退場(331) |
332–375 | 第1歌唱部 | → | 恐ろしいものは数多いが,人間より恐ろしいものはないと歌う第1旋舞歌(332–341).人間の狩猟や釣りの技術を歌う第1対旋舞歌(342–352).以上の韻律はアイオリス風の.人間のさまざまな術を歌う第2旋舞歌(353–364).術を善用する者もいれば悪用する者もいることを歌う第2対旋舞歌(365–375).以上の韻律はダクテュロス・エピトリテー. | |
376–581 | 第2挿話 | | | |
376–445 | ↓(語り) | 三歩格 | 番人がアンティゴネーを伴って入退場路(田舎側)から登場する(376).埋葬をしているアンティゴネーが捕らえられ,番人がクレオーンに突き出す.捕らえた時の状況を番人が報告する語り(407–440)は使者の語りと似た役割を果たしている.アンティゴネーは犯行を認める(443).番人は嫌疑が晴れ,入退場路(田舎側)から退場する(445). | アンティゴネー・番人入場(376),クレオーン入場(386),番人退場(445) |
446–525 | ↓(一行対話) | 三歩格 | クレオーンの触れは神々の法に優先しないとアンティゴネーは主張するが(450–470),クレオーンはアンティゴネーに死刑を言い渡す(473–496).アンティゴネーは死刑を受け入れる(497, 499–507).アンティゴネーは肉親への礼を,それに対してクレオーンは故国を攻めた者への罰を一行対話で主張し合う(508–523). | |
526–530 | ↓ | アナパイストス | イスメーネーが,アンティゴネーの身を案じつつ,涙にくれながら王宮の扉より登場する. | イスメーネー入場(526) |
531–581 | ↓(一行・二行対話) | 三歩格 | イスメーネーは埋葬に関与していないにも関わらず,アンティゴネーと同じ責めを負いたいと言うが,アンティゴネーは断る.イスメーネーは,クレオーンの息子ハイモーンとアンティゴネーの縁談を破棄するのかと詰め寄るが,クレオーンはあくまでアンティゴネーを死刑にする考えを変えない.3人の役者の間での二行対話と一行対話が続く.クレオーンは家来たちにアンティゴネーとイスメーネーを連れて行くように命じる.家来たちに連れられてアンティゴネーとイスメーネーは王宮の扉より退場する.おそらくクレオーンは舞台に留まったままである. | アンティゴネー・イスメーネー退場(581) |
582–630 | 第2歌唱部 | → | 第1旋舞歌(582–593),第1対旋舞歌(594–603)の韻律はダクテュロス・エピトリテー.第2旋舞歌(604–614),第2対旋舞歌(615–625)の韻律はアイオリス・コリアンボス調. | |
626–780 | 第3挿話 | | | |
626–630 | ↓ | アナパイストス | ハイモーンが入場することを合唱隊が告げる. | ハイモーン入場(626) |
631–765 | ↓(論争) | 三歩格 | 婚約者アンティゴネーに死刑を言い渡したことに対してハイモーンが怒っていると父親クレオーンは思っていたが(631–634),ハイモーンは父親の言葉に従うそぶりを見せる(635–638).クレオーンは悪い女を妻にすべきでないと諭し(639–680),ハイモーンは父親の言葉を受け入れつつも,アンティゴネーの行為を讃える(683–723).クレオーンとハイモーンの間で一行対話を中心とした諍いが起こる(726–765).交渉が決裂し,ハイモーンは入退場路より退場する(765). | ハイモーン退場(765) |
766–780 | ↓ | 三歩格 | 合唱隊長はクレオーンの意志を再度確認するが,アンティゴネーを洞穴に幽閉して死を与える考えに変わりがないことがわかる(766–780).おそらくクレオーンは舞台に留まったままである. | |
781–800 | 第3歌唱部 | アイオリス・コリアンボス調 | エロース讃歌.第1旋舞歌(781–790),第1対旋舞歌(791–800). | |
801–943 | 第4挿話 | | | |
801–805 | ↓ | アナパイストス | 手を引かれて王宮から登場するアンティゴネーを見て合唱隊長が憐れむ. | アンティゴネー入場(801) |
806–882 | ↓(第1号哭) | アイオリス・コリアンボス調 | 婚礼の日を迎えずに死を迎える運命をアンティゴネーは嘆き,合唱隊もそれに呼応して歌掛けを行う. | |
883–928 | ↓ | 三歩格 | クレオーンは早くアンティゴネーを洞穴に連れて行くよう言いつける(883–890).アンティゴネーは先に冥府に到着した家族の名前を挙げ,ポリュネイケースに礼をつくしたことを賞賛する者も現れるだろうと言う(891–928). | |
929–943 | ↓ | アナパイストス | クレオーンはアンティゴネーを早く連れて行くように言い,アンティゴネーは神々に呼びかけ,入退場路より退場する. | アンティゴネー退場(943) |
944–987 | 第4歌唱部 | アイオリス・コリアンボス調 | 幽閉された神話上の人物などの例を挙げる.第1旋舞歌(944–954),第1対旋舞歌(955–965),第2旋舞歌(966–976),第2対旋舞歌(977–987). | |
988–1114 | 第5挿話 | | | |
988–1090 | ↓(語り) | 三歩格 | テイレシアース登場.童子に手を引かれて入退場路から登場する(988).卜占を行ったが吉兆が得られず,クレオーンの触れを撤回するように説得する.語りと一行・二行対話を用いながら緊張感が高まり,交渉は決裂する.テイレシアースはハイモーンが死ぬことになるであろうという予言を残して入退場路より去って行く. | テイレシアース入場(988),テイレシアース退場(1090) |
1091–1114 | ↓ | 三歩格 | 合唱隊長にも説得され,クレオーンはアンティゴネーへの刑を取り消すべく入退場路(田舎側)より出発する. | クレオーン退場(1114) |
1115–1154 | 第5歌唱部 | アイオリス・コリアンボス調 | 第1旋舞歌(1115–1125),第1対旋舞歌(1126–1136),第2旋舞歌(1137–1144),第2対旋舞歌(1155–1256). | |
1155–1256 | 第6挿話 | | | |
1155–1182 | ↓ | 三歩格 | 入退場路(田舎側)より使者が入場し(1155),ハイモーンが亡くなったことを伝える. | 使者入場(1155) |
1183–1256 | ↓ | 三歩格 | エウリュディケー登場.王宮の扉より登場する.女神の社に詣でようと王宮を出たところでハイモーンの死を知る(1183–1191).使者は洞穴でアンティゴネーが縊死し,ハイモーンが到着したクレオーンに刃を向けるものの命中しないと自分に突き刺す(1193–1243).この話を聞いたエウリュディケーの身を使者と合唱隊長が心配する.使者はおそらく王宮の扉から退場する. | エウリュディケー入場(1183),エウリュディケー退場(1243),使者退場(1256) |
1257–1353 | 退場 | | | |
1257–1260 | ↓ | アナパイストス | 合唱隊長がクレオーンの到着を告げる. | クレオーン・ハイモーンの遺体入場(1257) |
1261–1346 | ↓(第2号哭) | ドクミオス | クレオーンが入退場路(田舎側)から登場し,触れを出したことを後悔し,嘆く.使者が王宮の扉より入場し,エウリュディケーも自死したことを伝える.使者と合唱隊長の間で歌掛けを行う. | 使者入場(1277),クレオーン・ハイモーンの遺体退場(1346) |
1347–1353 | ↓ | アナパイストス | 合唱隊は,年齢とともに身につけられる思慮こそが幸せの礎であると叙述する. | 合唱隊退場(1353) |