いまどきダイヤルアップ接続を使っている人はそう多くないでしょうが,種々の事情でダイヤルアップを使い続けている人もいると思います.内蔵式のモデムや,外付け式のモデムを使ったダイヤルアップの場合,複数台での接続にはルータを構築する必要があります.また,モデムを内蔵できないコンピュータの場合は,LAN を使い,ルータ経由でインターネットに接続したいと考える人もいるでしょう.そのためのルータ構築を考えてみます.なお,手元にある環境の都合で,Vine Linux 3.2 の場合を例にとっています.
当然ですが,ダイヤルアップルータは既にモデムが使えるようになっていなければなりません.Windows 専用の,いわゆる Winmodem を Linux で使えるようにするのは少し骨の折れる仕事です.次のページが役に立つかもしれません.
また,NIC(Network Interface Card)を通してネットワークも使えるようになっているとします.
IP アドレスは次のようになっているとします.違う場合は適宜読み替えてください.
項目 | アドレス |
デフォルトゲートウェイ(ルータの IP アドレス) | 192.168.0.1 |
サブネットマスク | 255.255.255.0 |
iptables パッケージが必要です.
Vine Linux 3.2 では,/etc/sysctl.conf の次の値を1に変更します.
net.ipv4.ip_forward = 1
iptables はコマンドを用いて設定していき,最後にそれらの設定値を保存して iptables を再起動するという手順をとります.
ダイヤルアップルータの場合,どのようにダイヤルアップするかというのが大きな問題となります.一番簡単なのは「オンデマンド接続」で,LAN 内のクライアントから接続要求があったらダイヤルアップを始め,一定時間アイドル時間が続いたら切断するというものです.ただしこの場合,通信料が高くついてしまうかもしれません.最近は(常時接続が普及しているため)知らない間にインターネットに接続してしまうソフトが多いからです.
ダイヤルアップのタイミングを完全にコントロールするためには,ルータに ssh や telnet でログインしてダイヤルアップをするとよいでしょう.
なお,ダイヤルアップのパッケージには ppxp を用いることとします.
設定ファイルのどこかに Auto On という行を挿入しておきます.あとは ppxpd を常時立ち上げておけばよいでしょう.ppxpd の設定方法は準備中です.
ターミナルから操作するのが便利でしょうから,次のようにします.
$ ppxp config-file ppxp>
「connect」を入力すればダイヤルアップを開始し,「disconnect」を入力すれば終了します.インクリメンタルサーチに対応していますので,それぞれ「c」「d」と入力しても同じです.「help」でコマンドの一覧が取り出せます.
Linux や Mac OS X では ssh が標準で使えますが,Windows の場合は使えません.PuTTY などのソフトを導入するとよいでしょう.