TypeSetting/MakingOfProceedings/ClassFile

はじめに(クラスファイル等の制作)

ある論文集に含まれるそれぞれの論文の本文が,日本語中心ではあるが,ほかの言語も含んでいる場合を考える.たとえばドイツ語・フランス語・イタリア語など.よく知られているように個々の言語(国・地域)によって組版の規則が異なるので,それを反映したものを作るのは,一般には難しい作業となる.

もっとも頭を悩ませるのが,「論文集全体の体裁を優先させるのか,各言語の組版の規則を優先させるのか」という点である.各言語の組版の規則を優先させれば,「その言語らしく」組版できるが,そうすると論文集全体の体裁は不統一になることが多い.いろいろな場合についてどちらを優先させるべきかを一般的に述べることはほとんど不可能であるので,論文集の性格や想定される読者などを考慮して,それぞれの場合で決定すべきである.

さて,そのような論文集を LaTeX で制作する場合を考える.LaTeX においては Babel を用いることでそのような問題の大部分を解決することができる.たとえば \selectlanguage{<lang>} を用いることで,それ以降のキャプションを <lang> 用のものに変更したり,ハイフネーションやほかの細かい組版の規則を <lang> 用のものに変更することができる.今挙げた例は「各言語の組版の規則を優先させる」の例に当たる.これらが各言語用のものに変更されることは多くの場合問題にはならないであろう.しかし,フランス語の組版の「脚注中の合印(脚注記号)は上付ではなく通常の大きさにする」という規則は,本文がフランス語の箇所には無条件に適用すべきものだろうか.これは論文集全体の体裁に関わる問題かもしれない.ちなみに Babel では,これは「文書の最初で指定されたときのみ有効」となっている.これはこれで穏当な処置とも言える.しかしこれを文書の一部分でのみ有効にしたい場合はどうすればよいだろうか.

それから,pLaTeX 用の一般的に使われているクラスファイルを用いると,いわば Babel の定義を「上書き」してしまい,クラスファイルの設定が優先されてしまうことがあるので対応を考えなければならない.

次の記事がもっとも問題を的確にまとめていると思う.

キャプションの問題については次の記事も大変参考になる.

pLaTeX 用のクラスファイルでも,日本語以外の言語を含む場合を想定したものがある.奥村先生制作の jsclasses には \if@english オプションがあり,このオプションを有効にするとたとえば表の見出しが「表」から「Table」に変わる.これを参考に必要なマクロを定義していくようにするとよいようだ.


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Last-modified: 2016-04-17 (日) 00:13:19