[2023年度春]古典ギリシア語初級(前半)

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目次

授業概要

開講
2023年度春学期
科目設置学部
文学部(College of Arts)
科目コード
AL207
テーマ
古典ギリシア語初級(前半)/Elementary Greek (first half)
授業形態
対面(全回対面)
校地
池袋(Ikebukuro)
曜日時限
火5(17:10–18:50)
単位
2単位
履修人数
18人
学期末試験受験人数
11人

正誤表

資料名箇所
形態論(1)p. 3,上の表贈り物運命
形態論(2)p. 2, l. 14*φρσί*φρνσί
形態論(2)p. 2, l. 14ρの母音化νの母音化
形態論(3)p. 8,「数詞(2)」の200の基数詞の項目δᾱκόσιοιδιᾱκόσιοι
形態論(4):現在組織(ω動詞)p. 13, l. 10παιδεύοιοπαιδεύοι

日程

  1. 2023/04/11
  2. 2023/04/18
  3. 2023/04/25
  4. 2023/05/09
  5. 2023/05/16
  6. 2023/05/23
  7. 2023/05/30
  8. 2023/06/06
  9. 2023/06/13
  10. 2023/06/20
  11. 2023/06/27
  12. 2023/07/04
  13. 2023/07/11
  14. 2023/07/18

学期末試験解説・講評

問題解説

  1. よくできていました.
  2. よくできていました.
  3. よくできていました.
  4. よくできていました.
  5. よくできていました.ギリシア語訳・和訳問題での誤答を考慮すると,παιδεύωの活用表を書く問題も設けた方がよかったかもしれません(もちろん小テストですでに覚えているはずですが).試験中にω動詞(παιδεύω型)の直説法本時称の人称語尾を問題用紙に書き出している学生がいましたが,よい方法だと思いました.
  6. 「真実の言葉を」は,男性名詞λόγος(ἀγαθόςの男性と同じ型)を単数対格形,形容詞ἀληθήςをそれに合わせて男性単数対格形にすればよい(τὸν ἀληθῆ λόγον,複数形でももちろん可)だけで,(3–4)ができていれば何の難しい点もない問題ですが,あまりできていませんでした.動詞を3人称単数のλέγειにするのもあまりできていませんでしたが,(5)を考慮すると仕方ないかもしれません.なお,主語は語彙に載っている形をそのまま書けばよいだけなので,主語が合っているだけなら0点としました.
  7. 「馬たちに」は(3)と小テストで何度も書いていただいた「『……に』は与格」を使って «(τοῖς) ἵπποις» とすればよいのですが,あまりできていませんでした.
  8. 「彼女たちはよい」.性・数(・格)が理解できているか試す問題です.
  9. 「正しい者(男)は徳を尊重する」.これも性・数(・格)が理解できているか試す問題です.「徳を尊重する」は(ギリシア語がわかっていなくても)語彙から想定できますので,「正しい徳」としているものは0点としました.
  10. 「子供は母を愛する」.格が理解できているか試す問題です.τὸ τέκνονは中性単数主格・対格(・呼格)形ですので,これだけでは主語か直接目的語か決まりません.μητέραが女性単数対格形であることを利用して,τὸ τέκνονが主語であることを決めます.これに加え,直接目的語を文頭に,主語を文末に置くことで誤答を導くよう考慮しましたが,やはりこれに引っかかっている人がいました.
  11. 「あなたは子供によいこと(pl.)を教えていた」.性・数(・格)が理解できているかと,未完了過去形を理解しているか試す問題です.ἀγαθάは中性複数主格・呼格・対格形,παῖδαは男・女性単数対格形ですので「よい子供(たち)」とは訳せません.未完了過去ですので「教えた」ではなく「教えていた」(など)の意味ですが,授業で過去の表現法はまだ詳しくやっていませんので,減点なしとしました.
  12. 「若者たちにとって,静かにすることは,おしゃべるすることよりよい」.比較級が理解できているかどうか試す問題でした.よくできていますが,語彙にヒントがたくさん書かれていたことが原因かもしれません.「静かにすることはよりよくおしゃべりをすることである」という解答がありましたが,これだとτοῦ λαλεῖνが属格(定冠詞でわかります)であることの説明ができません.これは比較の(対象を表す)属格です.
  13. 「我々は尊重する,あなた方が愛する者(男)たちを」.関係代名詞の理解と,動詞の活用を試す問題でした.οὕςは男性複数対格形ですので,「……するところの者(男)たち」の意味です.先行詞がありませんので,τῑμῶμενの前に補ってから訳します.補う必要があるのは関係代名詞と性・数の点で同じ指示代名詞(等)です.τῑμῶμενを含む主文の中で,省略されていると考えられるものは直接目的語です(主語は「我々」で,間接目的語等が省略されているとは考えられません)ので,τούτους(指示代名詞οὗτοςの男性複数対格形)を補います.οὕςは中性形ではありませんので,「……ということ」と訳すことはできません.
  14. 「主人たちは奴隷たちによって打たれる」.動詞の活用形(受動態)が理解できているか試す問題です.
  15. 「あなた方が教育してほしい」.願望的希求法が理解できているか試す問題です.まだやっていません(秋学期にやります)が「あなたたちは教育しなさい」でも可です.

学期末試験講評・評点について

シラバスにある通り,小テスト+提出課題(第2–3回)+授業中の練習問題で40点,学期末試験が60点で,学期末試験のうちほぼ暗記で解ける問題がある程度ありますので,ふつうに授業に出席し,真面目に授業に取り組んで,学期末試験の予習をふつうに行っていれば,(仮に学期末試験のギリシア語訳・和訳問題で誤りが多数あったとしても)100点満点中60点は取れるような構成になっています.そのため,受講生全体のできを考慮しても,合格ライン(60点)よりある程度下の学生に対する救済はできませんでした.ご了承ください.

授業全体の講評

まず,大部分の方々はほとんど毎回の授業に出席されていましたが,少なくない数の回を欠席している方々も若干いました.やむを得ない事情ならばもちろん仕方ないのですが,欠席した分を自習で取り戻すことはなかなか難しいので,可能な限り授業に出席するよう促すこと,また欠席した場合にサポートを受けるよう促すこと(Canvas LMSを利用して添削してもらうようにする,など)が必要かと思いました(実際にこれらのことを行っていた学生もいます).

また,毎回の練習問題の意図が通じていない場合が少なくなかったと思いますので,(全体的な意図はもちろん伝えてありますが)個別の問題について,必要であればどのような点に気をつけて解くべきか明示した方がよかったかもしれません.

第14回(2023/07/18)

学期末試験(80分間).

第13回(2023/07/11)

  1. 「小テスト(13)」.
  2. 「練習問題(13)」.
  3. 「形態論(5):現在組織(μι動詞)」.

配布物

  1. 「形態論(5):現在組織(μι動詞)」.

第12回(2023/07/04)

  1. 「小テスト(12)」.
  2. 「練習問題(12)」.
  3. 「形態論(4):現在組織(ω動詞)」第8.2, 8.5, 9.2節.

課題

  1. 「小テスト(13)」.
  2. 「練習問題(13)」.

配布物

  1. 「問題(12)」.

第11回(2023/06/27)

  1. 「小テスト(11)」.
  2. 「練習問題(10)」:2–6.
  3. 「練習問題(11)」.
  4. 「形態論(4):現在組織(ω動詞)」第8.3, 8.4節.

課題

  1. 「小テスト(12)」.
  2. 「練習問題(12)」.

配布物

  1. 「問題(11)」.
  2. 「学期末試験について」.

第10回(2023/06/20)

  1. 今回は小テストはありませんでした(次回はあります).
  2. 「練習問題(9)」:8–9.
  3. 「練習問題(10)」:1.
  4. 「形態論(3)」:副詞の節.
  5. 「形態論(4):現在組織(ω動詞)」第8.1節.

課題

  1. 「小テスト(11)」.
  2. 「練習問題(10)」:2–6.
  3. 「練習問題(11)」.

配布物

  1. 「問題(10)」.

第9回(2023/06/13)

  1. 「小テスト(9)」.
  2. 「練習問題(8)」:11–12.
  3. 「練習問題(9)」:1–7.
  4. 「形態論(3)」不定代名詞まで.

課題

  1. 次回の小テストはありません(進捗の都合).
  2. 「練習問題(9)」:8–9.
  3. 「練習問題(10)」:1.

配布物

  1. 「形態論(4):現在組織(ω動詞)」.
  2. 「問題(9)」.

第8回(2023/06/06)

  1. 「小テスト(8)」.
  2. 「練習問題(8)」:1–10(11–12は第9回に答え合わせ).
  3. 「形態論(3)」:定冠詞まで(名詞化まで).

課題

  1. 「小テスト(9)」.
  2. 「練習問題(8)」:11–12(今回の残り).
  3. 「練習問題(9)」:1–7(8–9は第10回に答え合わせ).

配布物

  1. 「形態論(3):代名詞・数詞・副詞」.
  2. 「文字論・音韻論(4)」.
  3. 「問題(8)」.

第7回(2023/05/30)

  1. 小テスト(7).
  2. 練習問題(7).
  3. 「形態論(2)」:Σωκράτηςから最後まで,ただし第4.3節(8–9)は次回.

課題

  1. 「小テスト(8)」.
  2. 「練習問題(8)」.

配布物

  1. 「問題(7)」.

第6回(2023/05/23)

  1. 小テスト(6).
  2. 練習問題(6).
  3. 「形態論(2)」(δαίμωνからγένοςまで).
  4. 「文字論・音韻論(3)」(「形態論(2)」に関連する箇所).

課題

  1. 「小テスト(7)」.
  2. 「練習問題(7)」(ギリシア語訳).
  3. 「練習問題(7)」(曲用表):任意(13のἔτοςまでできます).

配布物

  1. 「問題(6)」.

第5回(2023/05/16)

  1. 小テスト(5).
  2. 練習問題(5).
  3. 「形態論(2)」(φύλαξからγέρωνまで).
  4. 「文字論・音韻論(3)」(「形態論(2)」に関連する箇所).

課題

  1. 「小テスト(6)」.
  2. 「練習問題(6)」(和訳).

配布物

  1. 「問題(5)」.
  2. 「形態論(2)」.
  3. 「文字論・音韻論(3)」.

第4回(2023/05/09)

  1. 小テスト(4).
  2. 練習問題(4).
  3. 「形態論(1)」第1.2節(3)以降.

課題

  1. 「小テスト(5)」.
  2. 「練習問題(5)」(曲用の練習の残りと和訳).

配布物

  1. 「問題(4)」.

第3回(2023/04/25)

  1. 小テスト(3).
  2. 練習問題(3).
  3. 「形態論(1)」第1.1節,第1.2節(1–2).

課題

「問題(3)」の次の項目.提出すべき課題はありませんが,添削希望者はCanvas LMSに提出すれば添削して返却します.

  1. 「小テスト(4)」.
  2. 「練習問題(4)」第2.1節「『ヨハネ福音書』の朗読」(ローマ字転写).
  3. 「練習問題(4)」第2.2節「曲用の練習」の(2) γνώμη, (4) Μοῦσα.

配布物

  1. 「形態論(1)」.
  2. 「問題(3)」.

第2回(2023/04/18)

  1. 小テスト(2).
  2. 練習問題(2).
  3. 「文字論・音韻論(1)」第1.2節(8–9).
  4. 「文字論・音韻論(2)」第2.1節(1–6),第3節(残りは後日).

課題

「問題(2)」に書かれています.4月25日(火)11:00までにCanvas LMSに提出すべき課題があります.

配布物

  1. 「文字論・音韻論(2)」.
  2. 「問題(2)」.

第1回(2023/04/11)

  1. 「古典ギリシア語」.
  2. 「文字論・音韻論(1)」(第1.2節[8–9]は次回).

課題

「問題(1)」に書かれています.4月18日(火)11:00までにCanvas LMSに提出すべき課題があります.

配布物

  1. 「古典ギリシア語」.
  2. 「文字論・音韻論(1)」.
  3. 「問題(1)」.

シラバス内容

テーマ

古典ギリシア語初級(前半)/Elementary Greek (first half)

授業の目標

古典ギリシア語の初級文法を一年かけて学び,新約聖書やプラトーンの哲学作品などを,辞書と文法書を使えば何とか読めるようにする.

This course introduces students to elementary Greek grammar. By the end of the academic year, students will be reading some passages from the New Testament or the Plato’s dialogues etc. with the help of a dictionary and a grammar book.

授業の内容

I. 概要

春学期の授業の主な内容は次の三つである(詳しい内容は「授業計画」を参照のこと).

  1. ギリシア語アルファベット24文字を覚える.
  2. 名詞の格変化を覚える.
  3. 名詞の格の概念を覚え,それにもとづいて短めの簡単な文を訳す.

ギリシア語アルファベットの多くの文字はローマ字と似ているので,Aは一週間〜二週間かけてしっかり勉強すれば誰でも覚えられる.Bは覚える量が多いので,おおむね一学期間をかけて覚えていくことになる.Cには少々センスが要求される.練習問題をこなしていくことで,少しずつその方法を覚えていく.

II. 授業の進め方

授業は次のように行う.第1回はa, d, e, fのみ行う.

  1. [授業前]必要があれば教材を事前にダウンロードしておく.
  2. [授業開始]小テストを実施.
  3. 練習問題の答え合わせ(受講生が順番に発表).
  4. 教材を配布し新たな文法事項を学習する.
  5. 次回の小テストと練習問題の指示.
  6. [授業後]小テストのための暗記を行い,練習問題を解いてくる.

III. ギリシア語アルファベットの暗記(第3回授業時まで)

第3回の授業からはギリシア語アルファベットの読み書きができるようになっていることを前提に授業を進める.

ギリシア語アルファベットの読み書きができるようになっているかは次の二つで確認することができる.

  1. 第2回,第3回の小テストで自己点検
  2. 第1回と第2回の後に課される簡単な提出課題(添削して各自に返却する予定)

やむを得ず第1回,第2回の授業に参加することができなかった学生は提出課題を後で提出することができる.

I. Overview

The three main contents of the spring semester classes are as follows (see ‘Course Schedule’ for further details):

  1. To learn the 24 letters of the Greek alphabet.
  2. To learn the declension tables of nouns.
  3. To learn the concept of the case of nouns and to translate short, simple sentences.

The Greek alphabet is very similar to the Roman alphabet, so anyone can learn if they study it carefully for a week or two (A). There are many declension tables of nouns to memorise, so it takes about a semester to learn them (B). It takes time to acquire the concept of case, so this is acquired through repeated translation exercises (C).

II. Classroom procedures

The classes will be conducted as follows. In the first class, only a, d, e and f will be given.

  1. [Before class] Download the teaching materials in advance if necessary.
  2. [Start of class] Quiz.
  3. Answers to exercises (students’ presentations in turn).
  4. Hand out materials and study new grammar points.
  5. Instructions for the next quiz and exercises.
  6. [After class] Memorise the material for the quiz and complete the exercises.

III. Memorisation of the Greek alphabet (by the third class)

From the third class, it is assumed that students are able to read and write the Greek alphabet.

The following two checks will be made to ensure that students are able to read and write the Greek alphabet:

  1. Self-checking with quizzes in the second and third classes.
  2. A short submission assignment after the first and second sessions (to be corrected and returned to each student).

Students who are unable to attend the first and second classes due to unavoidable circumstances can submit their assignments later.

授業計画

  1. 文字と音韻(1):ギリシア語アルファベット24文字を学ぶ.
  2. 文字と音韻(2):気息記号とアクセントについて学ぶ.
  3. 名詞(1):第1・第2曲用名詞・形容詞の変化形を学ぶ.
  4. 名詞(2):第1・第2曲用名詞・形容詞の変化形を学ぶ.
  5. 文字と音韻(3):音の変化について学ぶ.
  6. 名詞(3):第3曲用名詞・形容詞の変化形を学ぶ.
  7. 名詞(4):第3曲用名詞・形容詞の変化形を学ぶ.
  8. 名詞(5):代名詞の変化形を学ぶ.
  9. 文字と音韻(4):アクセントの細かい規則について学ぶ.
  10. 名詞(6):数詞について学ぶ.
  11. 動詞(1):動詞について概説する.
  12. 動詞(2):ω動詞の現在組織の変化形を学ぶ.
  13. 動詞(3):μι動詞の現在組織の変化形を学ぶ.
  14. 予備

授業時間外(予習・復習等)の学習

予習は不要.復習は毎回4時間程度必要.復習の内容は変化表を覚えることと,練習問題を解くことの2つ.具体的な内容は毎回指示をするので,それにしたがって復習を行う.

Preparation is not required. About four hours of review are required for each class. There are two review tasks: memorising the tables of declension or conjugation, and translation. Specific instructions will be given each time, so review should be carried out accordingly.

成績評価方法・基準

レポートはギリシア語アルファベットの読み書きに関するもの(第1回,第2回授業後に課す).

教科書

教科書は使用しない.プリントを配布する.印刷したものを配布し,PDFファイルをCanvas LMSに掲載する予定.

参考書

授業中に指示をする.

その他

  1. 配布するプリントにもとづいた講義形式の授業を行い,必要に応じて板書等を行う.
  2. ただし練習問題は受講生が順番に発表していく形式.受講生が音読と和訳等を行い,それに関して教員がいくつか質問を行う.
  3. 授業支援システムにはCanvas LMSを用いる.教材をPDFファイルで配布する場合や,授業時間外の学習支援に用いる.
  4. 質問・相談は講義の前後に随時受け付ける.また,メールでも随時受け付ける.

リンク


rmatuura<AT>rikkyo.ac.jp

© 2023–2024 MATSUURA Takashi

Last modified: 2024/10/01