ω / \ / \ A Σ / \ / \ γ δ
Aは所有者の名前を取ってベンボー写本と呼ばれる。大文字で書かれた4--5世紀の写本である。
Σ系統の写本の下部には Calliopius recensui とか feliciter Calliopio bono scholastico とか書かれているので、それらをまとめてカッリオピウス(カリオピウス;Calliopius)写本と呼ぶことがある。
AにもΣにもスルピキウス・アポッリナーリス(Sulpicius Apollinaris; fl. AD 150)による梗概(periocha)があるため、AとΣが分かれたのはそれより後である。カッリオピウスが校訂を行ったのが、Aの書かれた時期(4--5世紀)、それからアエリウス・ドナートゥス(Aelius Donatus; fl. AD 350)の前か後かについては議論がある。紀元後300年から5世紀あたりに行われたというのが定説である。
Aは非常によい読みを伝えているが、しかしすべての点でΣに勝っているわけではない。というのは、5--6世紀の学者である Ioviales がΣの読みからの訂正を加えているからである(これにより、Σは少なくとも紀元後6世紀には存在したということがいえる)。
オックスフォード大学ボドレアン図書館にある12世紀中頃の写本。挿絵があるのでγ系である。