Oxford 方式の歴史は Horace Henry Hart(1840--1916)による表記規則の歴史だと言ってよい。
彼は1883--1915年の間、the University of Oxford の印刷工(Printer)と Oxford University Press(OUP)の責任者(Controller)という位置に就いていた。
彼は OUP での表記規則をまとめて1893年から、OUP の従業員たちに配っていた。これは私家版といえるもので、特に一般向けに公開することを想定したものではなかった。しかし、1904年に彼がロンドンの書店でその小冊子が売りに出されていることを知り、一般向けに出版することとした(Hart's Rules)。これは10年ほどの間に、イギリスを始め、他の英語圏の国にもまたたく間に広がっていった。
2002年に、Hart's Rules を置き換える The Oxford Guide to Style(OGS)が出版されるまで、実に第39版まで重ねた。OGS は、そのままの形で Oxford Style Manual の前半部分に収録された。さらに 2005年には OGS から借用してくる形で、New Hart's Rules が出版される。OGS と Oxford Style Manual は大きい版型の書籍であったが、New Hart's Rules では小さい版型に戻ったので、その名前とともに Hart's Rules は Hart の時代に回帰したと言える。
F. Howard Collins(1857--1910)は1905年に、主に Oxford English Dictionary(OED)の推奨する規則をもとに、Authors' and Printers' Dictionary を出版した。OED をもとにしながらも、彼はそれまで規則の存在しなかった、新しい規則をつくり出した。それは大文字化、イタリック化、句読法などにわたるが、彼は特に serial comma(`Oxford comma')の発案者だと考えられていることで有名である。
1910年に Collins が亡くなってから、Authors' and Printers' Dictionary の第4版以降は Hart が編集を行っている。1981年にはそれを置き換える形で ODWE が出版され、その改訂版が Oxford Style Manual の後半部分に収録された。2005年には New Hart's Rules と一緒に、「新しい」ODWE が小さい版型で出版されている。
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