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ソポクレース『アンティゴネー』

Last updated: 2018/03/25 by MATSUURA Takashi

作品の情報

参考文献

注釈

解説

翻訳

登場人物

人物ギリシア語名略号(ギ)ラテン語名略号(ラ)説明
アンティゴネーἈντιγόνηἈν.オイディプースの娘
イスメーネーἸσμήνηἸσ.アンティゴネーの妹
合唱隊ΧόροςΧο.ChorusCho.15人のテーバイの長老
クレオーンΚρέωνΚρ.
番人ΦύλαξΦυ.
ハイモーンΑἵμωνΑἱ.クレオーンの息子,アンティゴネーの婚約者
テイレシアースΤειρεσίαςΤε.予言者
使者ἄγγελοςἈγ.
エウリュディケーΕὐρυδίκηΕὐ.クレオーンの妃

役者の割り振り(推定)

第1俳優第2俳優第3俳優場面備考
1–99アンティゴネーイスメーネー前口上
100–161入場
162–222クレオーン第1挿話
223–321番人
322–326
327–331
332–375第1歌唱部
376–383アンティゴネー番人
384–386第2挿話
387–445クレオーン
446–525
526–581イスメーネー
582–625第2歌唱部
626–630
631–765ハイモーン第3挿話
766–780
781–800第3歌唱部
801–882アンティゴネー第4挿話
883–943↓(第1号哭)
944–987第4歌唱部
988–1090クレオーンテイレシアース第5挿話
1091–1114
1115–1153第5歌唱部
1154–1182使者第6挿話
1183–1243エウリュディケー
1244–1256
1257–1276クレオーン(ハイモーン)退場
1277–1344使者↓(第2号哭)
1345–1352

あらすじ

舞台
夜明け前のテーバイ(希Thẽbai)の王宮前.
経緯
前日にポリュネイケース(希Polyneíkēs)がアルゴス軍の助けを得て故国テーバイを攻めたが,兄弟エテオクレース(希Eteoklẽs)と刺し違えて亡くなった.叔父クレオーン(希Kréōn)は祖国に反旗を翻したポリュネイケースの埋葬を禁じる触れを出した.
注意
+かっこ内の数字は特に断りのない限り行数.
  1. 入場経路は推定.
韻律あらすじ役者入退場
1–99前口上三歩格アンティゴネーとイスメーネー登場.王宮の扉から入場する.「経緯」の内容についてアンティゴネーはイスメーネーに伝える(1–38).アンティゴネーは禁を犯してポリュネイケースを埋葬する意志を伝え,協力を求めるが,イスメーネーはそんなことはできるはずがないと言う(39–77).アンティゴネーが反論し,話し合いは決裂する(78–99).アンティゴネーは入退場路(田舎側)より退場し,イスメーネーは王宮の扉へと退場する.アンティゴネー・イスメーネー入場(1),アンティゴネー・イスメーネー退場(99)
100–154入場合唱隊入場.入退場路(片側または両側)より入場する(100).合唱隊入場(100)
100–133アイオリス風太陽神を讃える第1旋舞歌(100–109).アナパイストス(110–116)を挟みポリュネイケースがアルゴス勢が攻めてきたことを叙唱する.アルゴス勢がテーバイの7つの門を包囲したことを歌う第1対旋舞歌(117–126).アナパイストス(127–133)を挟みアルゴス勢の将の1人カパネウスをゼウスが雷霆で打ち据えたことを叙唱する.
134–161アイオリス・コリアンボス調アルゴス勢のほかの将はアレースが殺したことを歌う第2旋舞歌(134–140).アナパイストス(141–147)を挟みポリュネイケースとエテオクレースが刺し違えたことを叙唱する.ともかくもテーバイが勝利したので,夜通し舞い踊って神殿に詣でるべきと歌う第2対旋舞歌(148–154).アナパイストス(155–161)を挟みクレオーンが入場したことを叙唱する.クレオーンは入退場路(合唱隊と逆側?)から入場する.クレオーン入場(155)
162–331第1挿話3歩格
162–222↓(語り)クレオーン登場.テーバイ王家に3代にわたって忠実に仕えてきた長老たち(合唱隊)に向かって,自分が国王に就任すること,祖国に攻め込んだポリュネイケースの埋葬を禁じる旨を述べる.クレオーンによる語り(162–210)の後,合唱隊長との間で短い対話を行う(211–222).
223–331番人登場.入退場路(田舎側)から番人が入場し,見張りの目を盗んで誰かが埋葬を行ったことを報告する.クレオーンは自分に反対する一派が賄賂を渡して番人らに偽証するように頼んだと決めつけ,犯人の「男」を見つけ出し連れてくるよう命じる.クレオーンと番人による論争部(315–331).番人入場(223),クレオーン退場(326),番人退場(331)
332–375第1歌唱部恐ろしいものは数多いが,人間より恐ろしいものはないと歌う第1旋舞歌(332–341).人間の狩猟や釣りの技術を歌う第1対旋舞歌(342–352).以上の韻律はアイオリス風.人間のさまざまな術を歌う第2旋舞歌(353–364).術を善用する者もいれば悪用する者もいることを歌う第2対旋舞歌(365–375).以上の韻律はダクテュロス・エピトリテー.
376–581第2挿話
376–445↓(語り)三歩格番人がアンティゴネーを伴って入退場路(田舎側)から登場する(376).アンティゴネーは埋葬をしているところを捕らえられ,番人がクレオーンに突き出した.捕らえられた時の状況を番人が報告する語り(407–440)は使者の語りと似た役割を果たしている.アンティゴネーは犯行を認める(443).番人は偽証の嫌疑が晴れ,入退場路(田舎側)から退場する(445).アンティゴネー・番人入場(376),クレオーン入場(386),番人退場(445)
446–525↓(一行対話)三歩格クレオーンの触れは神々の法に優先しないとアンティゴネーは主張するが(450–470),クレオーンはアンティゴネーに死刑を言い渡す(473–496).アンティゴネーは死刑を受け入れる(497, 499–507).アンティゴネーは肉親への礼を,それに対してクレオーンは故国を攻めた者への罰を一行対話で主張し合う(508–523).
526–530アナパイストスイスメーネーが,アンティゴネーの身を案じつつ,涙にくれながら王宮の扉より登場する.イスメーネー入場(526)
531–581↓(一行・二行対話)三歩格イスメーネーは埋葬に関与していないにも関わらず,アンティゴネーと同じ責めを負いたいと言うが,アンティゴネーは断る.イスメーネーは,クレオーンの息子ハイモーンとの縁談を破棄するのかと詰め寄るが,クレオーンはあくまでアンティゴネーを死刑にする考えを変えない.3人の役者の間での二行対話と一行対話が続く.クレオーンは家来たちにアンティゴネーとイスメーネーを連れて行くように命じる.家来たちに連れられてアンティゴネーとイスメーネーは王宮の扉より退場する.おそらくクレオーンは舞台に留まったままである.アンティゴネー・イスメーネー退場(581)
582–630第2歌唱部第1旋舞歌(582–593),第1対旋舞歌(594–603)の韻律はダクテュロス・エピトリテー.第2旋舞歌(604–614),第2対旋舞歌(615–625)の韻律はアイオリス・コリアンボス調.
626–780第3挿話
626–630アナパイストスハイモーンが入場することを合唱隊が告げる.ハイモーン入場(626)
631–765↓(論争部)三歩格婚約者アンティゴネーに死刑を言い渡したことに対してハイモーンが怒っていると父親クレオーンは思っていたが(631–634),ハイモーンは父親の言葉に従うそぶりを見せる(635–638).クレオーンは悪い女を妻にすべきでないと諭し(639–680),ハイモーンは父親の言葉を受け入れつつも,アンティゴネーの行為を讃える(683–723).クレオーンとハイモーンの間で一行対話を中心とした諍いが起こる(726–765).交渉が決裂し,ハイモーンは入退場路より退場する(765).ハイモーン退場(765)
766–780三歩格合唱隊長はクレオーンの意志を再度確認するが,アンティゴネーを洞穴に幽閉して死を与える考えに変わりがないことがわかる(766–780).おそらくクレオーンは舞台に留まったままである.
781–800第3歌唱部アイオリス・コリアンボス調エロース讃歌.第1旋舞歌(781–790),第1対旋舞歌(791–800).
801–943第4挿話
801–805アナパイストス手を引かれて王宮から登場するアンティゴネーを見て合唱隊長が憐れむ.アンティゴネー入場(801)
806–882↓(第1号哭)アイオリス・コリアンボス調婚礼の日を迎えずに死を迎える運命をアンティゴネーは嘆き,合唱隊もそれに呼応して歌掛けを行う.
883–928三歩格クレオーンは早くアンティゴネーを洞穴に連れて行くよう言いつける(883–890).アンティゴネーは先に冥府に到着した家族の名前を挙げ,ポリュネイケースに礼をつくしたことを賞賛する者も現れるだろうと言う(891–928).
929–943アナパイストスクレオーンはアンティゴネーを早く連れて行くように言い,アンティゴネーは神々に呼びかけ,入退場路より退場する.アンティゴネー退場(943)
944–987第4歌唱部アイオリス・コリアンボス調幽閉された神話上の人物などの例を挙げる.第1旋舞歌(944–954),第1対旋舞歌(955–965),第2旋舞歌(966–976),第2対旋舞歌(977–987).
988–1114第5挿話
988–1090↓(語り)三歩格テイレシアース登場.童子に手を引かれて入退場路から登場する(988).卜占を行ったが吉兆が得られず,クレオーンの触れを撤回するように説得する.語りと一行・二行対話を用いながら緊張感が高まり,交渉は決裂する.テイレシアースはハイモーンが死ぬことになるであろうという予言を残して入退場路より去って行く.テイレシアース入場(988),テイレシアース退場(1090)
1091–1114三歩格合唱隊長にも説得され,クレオーンはアンティゴネーへの刑を取り消すべく入退場路(田舎側)より出発する.クレオーン退場(1114)
1115–1154第5歌唱部アイオリス・コリアンボス調第1旋舞歌(1115–1125),第1対旋舞歌(1126–1136),第2旋舞歌(1137–1144),第2対旋舞歌(1155–1256).
1155–1256第6挿話
1155–1182三歩格入退場路(田舎側)より使者が入場し(1155),ハイモーンが亡くなったことを伝える.使者入場(1155)
1183–1256三歩格エウリュディケー登場.王宮の扉より登場する.女神の社に詣でようと王宮を出たところでハイモーンの死を知る(1183–1191).使者は洞穴でアンティゴネーが縊死し,ハイモーンが到着したクレオーンに刃を向けるものの命中しないと自分に突き刺す(1193–1243).この話を聞いたエウリュディケーの身を使者と合唱隊長が心配する.使者はおそらく王宮の扉から退場する.エウリュディケー入場(1183),エウリュディケー退場(1243),使者退場(1256)
1257–1353退場
1257–1260アナパイストス合唱隊長がクレオーンの到着を告げる.クレオーン・ハイモーンの遺体入場(1257)
1261–1346↓(第2号哭)ドクミオスクレオーンが入退場路(田舎側)から登場し,触れを出したことを後悔し,嘆く.使者が王宮の扉より入場し,エウリュディケーも自死したことを伝える.使者と合唱隊長の間で歌掛けを行う.使者入場(1277),クレオーン・ハイモーンの遺体退場(1346)
1347–1353アナパイストス合唱隊は,年齢とともに身につけられる思慮こそが幸せの礎であると叙唱する.合唱隊退場(1353)

凡例


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Last-modified: 2019-03-30 (土) 04:06:43