[[TeX/Font/OpenType]]

*Adobe Garamond Pro(OpenType)のインストール [#ka4da50a]

Adobe 社の販売している Adobe Garamond Pro フォントを TeX で使えるようにしてみます。LCDF Typetools が必要です。[[TeX/Font/OpenType]] をご覧ください。

*購入 [#ja2adc99]

Adobe 社より購入できます。

-http://www.adobe.com/type/browser/P/P_1703.html

**書体見本 [#i794f94e]

-http://www.adobe.com/type/browser/pdfs/GARP/AGaramondPro-Regular.pdf
-http://www.adobe.com/type/browser/pdfs/GARP/AGaramondPro-Italic.pdf
-http://www.adobe.com/type/browser/pdfs/GARP/AGaramondPro-Bold.pdf
-http://www.adobe.com/type/browser/pdfs/GARP/AGaramondPro-BoldItalic.pdf

*シェルスクリプト [#pfa3ce31]

以下の作業を行うシェルスクリプトをこのページの一番下に添付してあります。~/texmf にインストールする場合は agaramon_user.sh を、/usr/local/teTeX/share/texmf-local にインストールする場合は agaramon_system.sh を使ってください。
以下の作業を自動で行うシェルスクリプトをこのページの一番下に添付してあります。~/texmf にインストールする場合は agaramon_user.sh を、/usr/local/teTeX/share/texmf-local にインストールする場合は agaramon_system.sh を使ってください。

なお、''.fd'' ファイルの内容は、下のものとは異なります。

**インストール [#f31c1a42]

まず、必要なファイルを agaramon_user.sh などと同じディレクトリに置いておきます。

+''.otf'' ファイル
+''cork.enc''
+''ts1.enc''

2, 3については同じディレクトリになければ、2はシステム中から、3は CTAN から取得してくるようになっています。

インストールする時は --install オプションをつけます。ls-R ファイルを更新する場合は --mktexlsr オプションを、updmap を実行する際は --updmap オプションをつけます。

 $ ./agaramon_user.sh --install --mktexlsr --updmap

**不要ファイルの除去 [#s3e425a8]

インストールを行ったあと、たくさんのファイルが同じディレクトリ内に生成されます。これを削除するには次のようにします。

 $ ./agaramon_user.sh --clean

**アンインストール [#t3401f45]

アンインストールするには次のようにします。--mktexlsr, --updmap の意味はインストールの際と同じです。

 $ ./agaramon_user.sh --uninstall --mktexlsr --updmap

*使い方 [#r098bad7]

 \usepackage{agaramon}

で Adobe Garamond フォントが標準になります。オールドスタイルを標準にするには

 \usepackage[oldstyle]{agaramon}

と書いておきます。

*フォントの用意 [#p9bab8d0]

次のフォントを作業用ディレクトリにコピーします。

-AGaramondPro-Regular.otf
-AGaramondPro-Italic.otf
-AGaramondPro-Bold.otf
-AGaramondPro-BoldItalic.otf

それぞれのフォントの情報を見るには次のようにします。

 $ otfinfo -f AGaramondPro-Regular.otf

*ファイル名の決定 [#z381d1ba]

LCDF Typetools は、入手した OpenType フォントにつけられているわかりやすい名前(AGaramondPro など)を元にファイル名を決定することを推奨していますが、Type 1 フォントを自分でインストールしている人にとっては、Berry 則にもとづいたファイル名にした方が管理しやすいでしょう。それにこの方が ''.fd'' ファイルを使いまわせます((Type 1 フォント用の ''.fd'' ファイルを流用できる場合があります。))。

ファイル名の決定については [[フォント名>TeX/Font/FontName]] をご覧ください。Adobe Garamond Pro の場合は ''pad'' で始まります。実際のファイル名の例についてはこの後の「otftotfm --- コマンドの実行」の部分をご覧ください。

*.fd ファイルの入手 [#p370a22c]

''.fd'' ファイルは自動で生成されません。

//Adobe Garamond Pro(Type 1 PostScript)用の ''.fd'' ファイルを入手してそれを流用します。
//
//Adobe Garamond Pro 用の ''.fd'' は [[CTAN>TeX/Keyword/CTAN]] にありますが、サーバによってはない場合もありますので、適当に探してみてください。例えば次のような場所にありました。
//
//-http://www.botik.ru/~znamensk/CTAN/fonts/metrics/adobe/minion/tex/

//用意されている ''.fd'' ファイルは念のため全て入手しておきましょう。

*ファイルの生成 [#hee673c5]

''.tfm'', ''.vf'', ''.pfb'', ''.enc'' ファイルを生成します。

**.enc のコピー [#ae2b66e6]

[[TeX/Font/OpenType#enc]] を参照してください。

**.map ファイルの作成 [#r7d09941]

''.map'' ファイルに書き込みながら ''.tfm'' ファイルを生成するので、空の ''.map'' ファイルを作っておきます。

 $ touch pad.map

**otftotfm [#r781d3f1]

''otftotfm'' を実行して ''.tfm'', ''.vf'', ''.enc'' ファイルを生成し、同時に ''.map'' ファイルに書き込んでいきましょう。

***オプション [#ob8ca1bd]

''otftotfm'' にはオプションが多数用意されています。詳細は otftotfm のマニュアル([[TeX/Font/OpenType/LCDFTypeTools]] 参照)に譲るとして、ここではよく使うオプションを確認しておきましょう。

|~オプション|~詳細の指定|~機能|
|~-e||エンコーディングファイルを指定する|
|~-f '''feature'''||'''feature''' で指定した機能を有効にする|
|~|-fkern|カーニングを有効にする|
|~|-fliga|リガチャを有効にする|
|~|-fsmcp|スモールキャップ体を有効にする|
|~|-fonum|オールドスタイルの数字を有効にする|
|~-n||出力するファイル名を指定する|
|~-S '''amt'''|-S 0.167|'''amt''' で指定された角度だけ傾斜させる(Slant)|

***コマンドの実行 [#wa91209a]

エンコーディングファイルには ''cork.enc'' を用い、出力するファイル名を指定し、リガチャとカーニングを有効にした上で、スモールキャップ体・オールドスタイル・傾斜は必要なところのみ有効にします。

コマンドの概要は次のようになります。

 $ otftotfm -e cork.enc -fkern -fliga -n xxxx8t AGaramondPro-xxxx.otf >>pad.map

これに必要なオプションを付け加え、xxxx8t の部分にファイル名を指定し、元のファイル名を AGaramondPro-xxxx.otf に当てはめて実行します。''8t'' は T1 エンコーディングの場合です。他のエンコーディングの場合は適宜読みかえてください。

|~元ファイル|~オプション|~指定するオプション|~ファイル名|
|~Regular|~ ||padr8t|
|~Regular|~(old style number)|-fonum|padr8tj|
|~Regular|~Small Caps|-fsmcp|padrc8t|
|~Regular|~Small Caps (old style number)|-fsmcp -fonum|padrc8tj|
|~Regular|~Slant|-S 0.167|padro8t|
|~Regular|~Slant (old style number)|-fonum -S 0.167|padro8tj|
|~Italic|~ ||padri8t|
|~Italic|~(old style number)|-fonum|padri8tj|
|~Bold|~ ||padb8t|
|~Bold|~(old style number)|-fonum|padb8tj|
|~Bold|~Small Caps|-fsmcp|padbc8t|
|~Bold|~Small Caps (old style number)|-fsmcp -fonum|padbc8tj|
|~Bold|~Slant|-S 0.167|padbo8t|
|~Bold|~Slant (old style number)|-fonum -S 0.167|padbo8tj|
|~Bold|~Italic||padbi8t|
|~Bold|~Italic (old style number)|-fonum|padbi8tj|
|~Semibold|~ ||pads8t|
|~Semibold|~(old style number)|-fonum|pads8tj|
|~Semibold|~Small Caps|-fsmcp|padsc8t|
|~Semibold|~Small Caps (old style number)|-fsmcp -fonum|padsc8tj|
|~Semibold|~Slant|-S 0.167|padso8t|
|~Semibold|~Slant (old style number)|-fonum -S 0.167|padso8tj|
|~Semibold|~Italic||padsi8t|
|~Semibold|~Italic (old style number)|-fonum|padsi8tj|
|~Black|~ ||padc8t|
|~Black|~(old style number)|-fonum|padc8tj|
|~Black|~Small Caps|-fsmcp|padcc8t|
|~Black|~Small Caps (old style number)|-fsmcp -fonum|padcc8tj|
|~Black|~Slant|-S 0.167|padco8t|
|~Black|~Slant (old style number)|-fonum -S 0.167|padco8tj|

実行の際にエラーが出ることがありますが、大抵の場合は無視して大丈夫です。

*.map ファイル [#kbef30d2]

**確認 [#hc2114fb]

できた ''.map'' ファイルを確認して、不要な記述があれば削除しておきます。不要な記述とは次のようなものです。

 I had to ...

**修正 [#u678065e]

スラント体の指示は ''.map'' ファイル中で次のようにされています。

 padro8t--base AGaramondPro-Regular "0.167 SlantFont AutoEnc_xxx ReEncodeFont" ...

''0.167 SlantFont'' は ''ReEncodeFont'' の後にきて、次のようにならなければなりません。

 padro8t--base AGaramondPro-Regular " AutoEnc_xxx ReEncodeFont 0.167 SlantFont " ...

次のようにすると一括して変換できます。

 cp pad.map pad.map.bak
 sed 's/0.167 SlantFont\(.*ReEncodeFont\)/\1 0.167 SlantFont/' pad.map.bak >pad.map

*.fd ファイル [#uc90079c]

//先に述べたように ''.fd'', ''.sty'' ファイルが必要です。自分で作成することもできますが、先ほどの
//
//-http://www.botik.ru/~znamensk/CTAN/fonts/metrics/adobe/minion/tex/
//
//で Type 1 フォント用のものが配布されていますので、これを使うのが便利でしょう。ここでのやり方では、

''pad'' と ''padj'' というフォントファミリを作成したので、以下のファイルが必要になります。

-''t1pad.fd''
-''t1padj.fd''
-''ts1pad.fd''
-''ts1padj.fd''

''t1pad.fd'' を元にし、必要に応じて次の変換をしてそれぞれのファイルを作成します。

-{''pad''} -> {''padj''}
-''t1'' -> ''ts1''
-''padr8t'' -> ''padr8tj'' etc

次のようになります。

 %Filename: t1padj.fd
 
 %THIS FILE SHOULD BE PUT IN A TEX INPUTS DIRECTORY
 
 \ProvidesFile{t1padj.fd}[2007/08/10 T1/padj by MATSUURA Takashi]
 
 \DeclareFontFamily{T1}{padj}{}
 
 \DeclareFontShape{T1}{padj}{m}{n}{
    <-> padr8tj
 }{}
 
 \DeclareFontShape{T1}{padj}{m}{sc}{
    <-> padrc8tj
 }{}
 
 \DeclareFontShape{T1}{padj}{m}{sl}{
    <-> padro8tj
 }{}
 
 \DeclareFontShape{T1}{padj}{m}{it}{
    <-> padri8tj
 }{}
 
 \DeclareFontShape{T1}{padj}{b}{n}{
    <-> padb8tj
 }{}
 
 \DeclareFontShape{T1}{padj}{b}{sc}{
    <-> padbc8tj
 }{}
 
 \DeclareFontShape{T1}{padj}{b}{sl}{
    <-> padbo8tj
 }{}
 
 \DeclareFontShape{T1}{padj}{b}{it}{
    <-> padbi8tj
 }{}
 
 \DeclareFontShape{T1}{padj}{sb}{n}{
    <-> pads8tj
 }{}
 
 \DeclareFontShape{T1}{padj}{sb}{sc}{
    <-> padsc8tj
 }{}
 
 \DeclareFontShape{T1}{padj}{sb}{sl}{
    <-> padso8tj
 }{}
 
 \DeclareFontShape{T1}{padj}{sb}{it}{
    <-> padsi8tj
 }{}
 
 \DeclareFontShape{T1}{padj}{eb}{n}{
    <-> padc8tj
 }{}
 
 \DeclareFontShape{T1}{padj}{eb}{sc}{
    <-> padcc8tj
 }{}
 
 \DeclareFontShape{T1}{padj}{eb}{sl}{
    <-> padco8tj
 }{}
 
 \DeclareFontShape{T1}{padj}{bx}{n}{<->ssub * padj/b/n}{}
 \DeclareFontShape{T1}{padj}{bx}{sc}{<->ssub * padj/b/sc}{}
 \DeclareFontShape{T1}{padj}{bx}{sl}{<->ssub * padj/b/sl}{}
 \DeclareFontShape{T1}{padj}{bx}{it}{<->ssub * padj/b/it}{}
 \DeclareFontShape{T1}{padj}{eb}{it}{<->ssub * padj/eb/sl}{}
 
 \endinput

*.sty ファイル [#u1ff7849]

簡単に Adobe Garamond Pro フォントを使えるように、''pminion.sty'' を作成します。今回オールドスタイルを使えるようにしていますので、オプションで指定できるようにしましょう。

 \NeedsTeXFormat{LaTeX2e}
 \ProvidesPackage{agaramon}[2007/08/10 v1.0 Adobe Garamond Pro by MATSUURA Takashi]
 \RequirePackage[T1]{fontenc}
 \RequirePackage{textcomp}
 \DeclareOption{lining}{\renewcommand*{\rmdefault}{pad}}
 \DeclareOption{oldstyle}{\renewcommand*{\rmdefault}{padj}}
 \ExecuteOptions{lining}
 \ProcessOptions\relax
 \newcommand*{\textos}[1]{{\fontfamily{padj}\selectfont #1}}
 \newcommand*{\textln}[1]{{\fontfamily{pad}\selectfont #1}}
 \endinput

これで

 \usepackage[oldstyle]{agaramon}

とプリアンブルに書けばオールドスタイルが標準に、

 \usepackage{agaramon}

と書けばライニング(通常)が標準になります。

一部分だけオールドスタイル・ライニングにする場合はそれぞれ

 \textos{0123456789}
 \textln{0123456789}

を使います。

*コピー [#hbb599c0]

以下のファイルを TeX が見つけてこられるところにコピーします。

-''.pfb'' (/usr/local/teTeX/share/texmf-local/fonts/type1/adobe/agaramon/)
-''.tfm'' (/usr/local/teTeX/share/texmf-local/fonts/tfm/adobe/agaramon/)
-''.vf'' (/usr/local/teTeX/share/texmf-local/fonts/vf/adobe/agaramon/)
-''.enc'' (/usr/local/teTeX/share/texmf-local/fonts/enc/dvips/adobe/agaramon/)
-''pad.map'' (/usr/local/teTeX/share/texmf-local/fonts/map/dvips/adobe/agaramon)
-''.fd'' (/usr/local/teTeX/share/texmf-local/tex/latex/adobe/agaramon/)
-''agaramon.sty'' (/usr/local/teTeX/share/texmf-local/tex/latex/adobe/agaramon/)

/usr/local/teTeX/share/texmf-local/ の部分は自分のシステムに合わせて読みかえてください。

**設定 [#j589370e]

TeX から使えるようにします。

 # mktexlsr
 # updmap-sys --enable Map=pad.map

*テスト [#j72bbbf2]

-[[フォント出力のテスト>TeX/Font/FontTest]]

を参考にテストしてみてください。

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