TeX/Keyword/TEXMF-tree から移行中です。
TeX のシステムの特徴として、自由に拡張できることが挙げられます。自分で見つけてきたクラスファイル・パッケージファイル(スタイルファイル)、フォントなどを自由にインストールすることができます。また、自分で作成してインストールすることもあるでしょう。
そのようなファイルはほとんど texmf などのディレクトリの下にインストールします。texmf(など)というディレクトリのありかは OS や TeX のディストリビューションによって異なります。代表的なのは以下のようなものでしょう。
結局、適切にインストールされていればどれでも働きは同じなので、解説では
などで代表させて表します。このような表記が出てきたら適当に読みかえてください。以下で具体的な読みかえ方も解説します。フルパスが必要な場合は ptetex3 標準の /usr/local/teTeX/share/texmf などの表記を用います。
以前は /usr/(local/)share/texmf などの TEXMF ディレクトリ以下に、標準配布のファイルも自分で見つけてきたファイルも一緒に入れてしまうのが普通でした。これでは TeX のシステム更新のたびに自分で見つけてきたファイルが消されてしまうので、その都度インストールする必要がありました。多重 texmf ツリーを使用して、自分で見つけてきたファイルを(TeX のシステム更新の際に消去されない)別のディレクトリに保存するようにすれば、更新のたびにインストールする必要がなくなります。次の URL を参照してください。
このサイトでは多重 texmf ツリーを前提に解説しています。最近の TeX ディストリビューションならば多重 texmf ツリーが利用可能になっているはずです*1。利用可能になっていない場合は、TeX のシステム自体を更新することをお勧めします。
システム全体(=全てのユーザ)で使える texmf ツリーのことです。当然これらに変更を加えるには root 権限が必要です。
よく使うのは次の texmf ツリーです。ptetex3 の例で説明します。
略号 | パス |
---|---|
$TEXMFDIST | /usr/local/teTeX/share/texmf-dist |
$TEXMF | /usr/local/teTeX/share/texmf |
$TEXMFLOCAL | /usr/local/teTeX/share/texmf-local |
$TEXMFDIST は、TeX ディストリビューションに含まれるファイルを格納するところです。例えば teTeX を使っているなら、teTeX の作者の Thomas Esser 氏が配布しているファイルをこの下に収めます。$TEXMF は $TEXMFDIST に似ていますが、ptetex3 の例で言うと、teTeX に含まれていない(Thomas Esser 氏の配布していない)ファイルはこの下に収めます。ptex 関連や奥村氏作成の jsclass などのファイルがこれに当たります。TEXMFLOCAL は TeX ディストリビューションに含まれず、そのシステムの管理者が独自にインストールするファイルを収めるところです。
それぞれの texmf ツリーの下は TDS のディレクトリ構造にしたがって構成します。
(ls-R を使っている場合は)それぞれの texmf ツリーに対して ls-R を作成する必要があります。システム全体で使えるコマンドは
# texconfig-sys rehash
です。以前の
# mktexlsr
も使えます。
.map ファイルの登録は
# updmap-sys
です。-sys がつくことに注意してください。updmap は個人用コマンドです。
個人用の texmf ツリーというのもあります。そのシステムに対して root 権限がない時に使えますし、root 権限を持っている人でも、入手したパッケージ等をテストするときなどに便利でしょう。次のようなツリーがあります。
略号 | パス |
---|---|
$TEXMFVAR | $HOME/.texmf-var |
$TEXMFHOME | $HOME/texmf |
(ls-R を使っている場合は)個人用の texmf ツリーに対しても ls-R を作成する必要があります。個人用には
$ texconfig rehash
です。
$ texhash
も使えます。
.map ファイルの登録は
$ updmap
です。